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鐘声
「鐘声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鐘声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ことが毎日あられてたまるものか」 二人は相見て笑いぬ。ときに数杵《すうしょ》の
鐘声遠く響きて、月はますます白く、空はますます澄めり。 白糸はあらためて馭者に....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
……品川ア――……品川ア――……お早く願いまアす……」 という特別に異様な割れ
鐘声を聞くであろう。記者も変な声だなと思って、窓から首を出して見た一人であったが....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の音階であるという――二つが明らかにされたのみであった。かつて聖アレキセイ寺院の
鐘声にも、これとよく似た妖怪的な現象が現われたことがあった。けれども、それは単な....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
聳り立っているのを……。そして、暁の七時と夕の四時に嚠喨と響き渡る、あの音楽的な
鐘声も、たぶん読者諸君は聴かれたことに思う。 ところで、物語を始めるに先立って....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
打つ。あれはロンドンの議事堂の時計を模しているのだとハース氏がいう。西欧の寺院の
鐘声というものに関するあらゆる連想が雑然と頭の中に群がって来た。 きのうの夕食....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
と哀音長く鳴り連れて居る。二つの響はあたかも余等の胸の響に通うた、砲声の雄叫び、
鐘声の悲泣。
都も鄙も押並べて黒きを被る斯大なる哀の夜に、余等は茫然と東の方を....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
。すなわち行きて一泊して、就褥の後に御注意あれ。 間広き旅店の客少なく、夜半の
鐘声|森として、凄風一陣身に染む時、長き廊下の最端に、跫然たる足音あり寂寞を破り....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
と斉しく、窪める両眼に涙を浮べ、一座|退りて手をこまぬき、拳を握りてものいわず。
鐘声遠く夜は更けたり。万籟天地声なき時、門の戸を幽に叩きて、 「通ちゃん、通ちゃ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
と、冷やかに云った。
「はい、貴下様から――」
「何刻であろうか、山中暦日無く、
鐘声なし」
半分、節をつけて呟きつつ、手早く、着物を脱いで
「御免」
兎のよ....
「スポーツの美的要素」より 著者:中井正一
ブルの中の一節、パリの防塞の中の戦士達が全市中に響く鐘の音に耳を澄している、その
鐘声が弱ることは誓えるものの裏切りのしるしである。それは全時代が転回できるかどう....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
ただこれ困窮の余に出でたことで、他に何等の煩悶があってでもない。この煩悶の裡に「
鐘声夜半録」は成った。稿の成ると共に直ちにこれを東京に郵送して先生の校閲を願った....
「上野」より 著者:永井荷風
酒ヲ煖メ盃ヲ侑ム。遊人嘔唖歌吹シ遅遅タル春日興ヲ追ヒ歓ヲ尽シテ、惟夕照ノ西ニ没シ
鐘声ノ暮ヲ報ズルヲ恨ムノミ。」となしている。 桜花は上野の山内のみならず其の隣....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
である。一際《ひときわ》高く漂《ただよ》い来る木犀《もくせい》の匂と共に、上野の
鐘声《しょうせい》は残暑を払う凉しい夕風に吹き送られ、明放した観潮楼上に唯一人、....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
が声を揃えて市郎の名を呼んでいた。其中には塚田巡査の錆びた声も、七兵衛|老翁の破
鐘声も混って聞えた。 この人々は今や漸くここへ辿り着いたのであった。市郎が単身....
「西航日録」より 著者:井上円了
の力、よく今日の富強をきたすというも、あえて過言にあらざるべし。よって余は、 喚
鐘声裏往来忙、士女如花満会堂、日曜朝昏修養力、能教国富又兵強。 (鐘の音のひびく....