» 

「鐚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鐚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
《あざけ》った。「私《わて》らに手伝《てつど》うてもろたら損や思たはるのや。誰が《びた》一文でも無心するもんか」 お互いの名を一字ずつとって「蝶柳」と屋号を....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
でもうちの父に、何かお金のことで面倒を見ているの」 「いや、金はもう、老先生には一文出しません。失くなすのは判っているんだから。それに老先生だって、一度あたし....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
たゞきます。」 「馬鹿をいえ。」と、勇作はまた叱り付けました。「貴様のような奴に一文でも余分なものが遣られると思うか。首の飛ばないのを有難いことにして、早く立....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
唾を吐き散らし、わざとらしく嘔吐を催した振りをしながら、佐助の懐中をさぐったが、一文も出て来なかったので、呆れかえってしまった。 が、それよりもなお失望した....
わが町」より 著者:織田作之助
っとも金は送っては来んし……」 「送ったぜ」 「はじめの二三年やろ? あとはお前一文送って来ん、あとに残った二人がどないして食べて行けるねん? 夜店出しなとせ....
光の中に」より 著者:金史良
とのことだった。李はその話を聞くと真蒼になって声をふるわせ、亭主が何しろ半兵衛で銭一文持たないごろつきであるから、入院などとても覚束ない、助けると思ってここに....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
おい、そんなことは……」と、山崎は云った。「郷票をかっぱらうんなら、まだ分るが、一文もない軟派の娘をかっぱらってどうするんだい。ええ、冗談じゃないぜ。」 「黙....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
こんなことをいつまでかしてえちゃァ天道様の罰があたるぜ」――この言の如くかれは一文親の金には手をつけず、家財までもそのままに飛出して時に或は土かたになり、ま....
」より 著者:金子ふみ子
たかもしれなかった。 人々のおかげで母はなぐられなかった。その代り、米粒一つも一文も与えられずに、私たちはその家をすごすごと立ち去らなければならなかった。 ....
」より 著者:海野十三
ランと振りながら、 「こら化助。お前はとんだ思い違いをしているぞ。この儂は、まだ一文も、四郎から受取っちゃ居ねえのだ。これは本当だ」 「嘘をつけッ、このヒョッ....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
杜先生は少女の頭の下から腕をぬくと、その頭を静かに棺の中に入れてやった。彼女はれた様子もなく、ジッと眼をつぶっていた。花びらが落ちたような小さなふっくらとし....
氷河」より 著者:黒島伝治
を見た。と、そこに、新しい手の切れるような札束があった。競争に負けたジャップには一文だって有りゃしないんだろう。――テーブルに向って腰かけたメリケン兵の眼には....
道なき道」より 著者:織田作之助
レコード吹き込みの話を持ち出すと、庄之助は自分から演奏料の金額を言い出して、 「一文かけても御免蒙りましょう」 と、一歩も譲らなかった。 それは、一少女の....
註文帳」より 著者:泉鏡花
人にゃあ分らねえわ。お若さんの容色が佳いから天窓を下げるのが口惜いとよ。 私あ一文世話になったんじゃあねえけれど、そんなこんなでお前、その少姐が大の贔屓。 ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
って、互いに疑いを起して居る有様は実に奇態な現象また馬鹿げた話で、まして私ごとき一文の関係もない一介の僧侶が、国際上の事に関係したかのように思わるるのは味気な....