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鐶
「鐶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鐶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
で、却《かえっ》て岡村はどうしたろうとも思わないでいる所へ、蚊帳《かや》の釣手の
鐶《かん》をちゃりちゃり音をさせ、岡村は細君を先きにして夜の物を運んで来た。予は....
「黒猫」より 著者:佐々木直次郎
弱い者ではない。しかし私は事実のつながりを詳しく述べているのであって、――一つの
鐶《かん》でも不完全にしておきたくないのである。火事のつぎの日、私は焼跡へ行って....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
素晴《すばら》しい。と、上の甲板からは、ダイビングの女子選手が、胴のまわりを、吊
鐶《つりわ》で押《おさ》えたまま、空中に、さッと飛びこむ。アクロバットなどより真....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
麦だけ余計につかわされて悄気返る。その夜、故郷の江戸お箪笥町引出し横町、取手屋の
鐶兵衛とて、工面のいい馴染に逢って、ふもとの山寺に詣でて鹿の鳴き声を聞いた処……....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
棺駐門の柱が見えた。そこまで来ると、頭上の格の中から、歯ぎしりのような鐘を吊した
鐶の軋りが聞え、振動のない鐘を叩く錘舌の音が、狂った鳥のような陰惨な叫声を発して....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
れは両スキーの先端を重ねて前皮か適当な紐で締め、両締具をルックザックの負皮の上の
鐶に通して、ルックザックとともに担ぐのである。もしスキーがぐらつくようならテール....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、眩暈、何ぞというと必ず定斎を用ゆる。 彼の炎天に青貝入りの薬箱を担ぎ、抽斗の
鐶の歩むたびに鳴るを呼び売りのしるしとする定斎やは、今も佐竹の原にその担い方の練....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
《ながぐつ》の爪先《つまさき》を、ばらばらの土のなかに半分埋まっていた大きな鉄の
鐶《かん》にひっかけたのだ。 我々はいまや一所懸命に掘った。そして私はかつてこ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
勇「大層早く起きたのウ、お前には珍らしい早起だ、待て/\今明けてやる」 と掛
鐶を外し明けてやる。 伴「大層|真暗ですねえ」 勇「まだ夜が明けきらねえからだ、....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
立てかけて入念に調べていた。押し倒されたハズミにカケガネは外れている。カケガネの
鐶は板戸にチャンとついている。 新十郎は二三尺離れたところから、五寸釘を探しだ....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
した。 この浅い瀞の釣り場は、私の目測によれば深さ三尺前後であろう。そこで、鼻
鐶上方四尺の点に、白い鳥の羽根で作った目印をつけたのである。 囮鮎を鼻
鐶につけ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
は見本でしょうが、拳ほどもある大きな玉を繋いだのが掛けてあり、前の方には幾段かの
鐶に大小の数珠が幾つも並べて下げてあります。その辺まで鳩が下りています。 お堂....
「呪われの家」より 著者:小酒井不木
岡はこの殺人に無関係だとは言われない。が、さて殺された女と平岡とを結びつける鎖の
鐶となるものは何一つもない。……こう考えたとき、霧原警部は殺された女の横顔と平岡....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
念した。だが、何か私とてもまんざら寂しくないことはない。キリキリキリキリと帆綱の
鐶も鳴っている。 「や、僕も少しやっつけよう。飲むよ。飲むよ。」 そこで、三本....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
で聞いた「はさみ、包丁、かみそりとぎ」だの、「朝顔の苗、夕顔の苗」だの、定斎屋の
鐶の音だの、飴屋のチャルメラだの、かんかちだんごの杵の音だの、そうしたいろ/\の....