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長引く
「長引く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
長引くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
ですか。ほかに頼りになるほどの親類もないそうですから。阿母《おっか》さんの病気が
長引くようなら勿論のこと、今すぐに死なれても第一にお葬式《とむらい》にも困るくら....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
て出る声でない、獣ならば他の強い獣に捕われ、締殺される時の悲鳴ででも有ろう、其の
長引く様が、余の全身の神経へ悉く響き渡った、余は殆ど進むにも進まれぬ思いがした、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
るで墓石の下から出て来たような顔色をしていた。 風が出てきて、余燼がスーと横に
長引くと、異臭の籠った白い煙が、意地わるく避難民の行手を塞いで、その度に、彼等は....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
旦御同行申すべきよう申し候え共、つら/\考うるに警察署の取調べと申すものは意外に
長引くものにて、小生目下|鳥渡手放し難き用件を控えおり、長く署内に留め置かれ候よ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ようじゃな。いや、よいわよいわ。掛り役人共とやらも番頭も何を致しおるか存ぜぬが、
長引くだけにいっそ楽しみじゃ。ならば一つ身共も悪戯してつかわそうぞ。ゆうべのあの....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
はいなかった。 とうとう、この紛争は八月の六日から二十五日まで続いた。長引けば
長引くほど、事件は牛方の側に有利に展開した。下海道の荷主が六、七人も角十を訪れて....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
送る婆さんたちも多かった。もっとも、これは馬籠の場合ばかりでなく、越後表の歩役が
長引くようであっては各村とも難渋するからと言って、木曾谷中一同が申し合わせ、農兵....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
を続けることにしたいと断わった。むなしい旅食は彼とても心苦しかったが、この滞在が
長引くようならばと郷里の伏見屋伊之助のもとへ頼んでやったこともあり、それに今にな....
「爛」より 著者:徳田秋声
が、お今の思いどおりに、壊されそうもない事情が、最初の手紙でわかっていたが、談の
長引くうちに、先方の親たちの気の変って来たような様子が、後の音信でほぼ推測された....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
中に書いた詩をそっと握らした。彼は車室の下のプラットホームに残った。別れの瞬間が
長引く時よく起こるように、二人はもう何にも言うことがなかった。しかしシュルツの眼....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
い合ってつっ立った。思ったところへ落ち込むにはしばらくかかった。そのままの状態が
長引くにつれて、どちらも相手の眼に自分がおかしく映ってると思った。ついにクリスト....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
る。 「これはいけない」とホーキン氏は鉄砲を打ちながら考えた。 「戦いが長引けば
長引くほど味方の者を損ずるばかりだ。……一方の敵を打ち破り安全の場所へ引き上げる....
「挿話」より 著者:徳田秋声
兄の見舞いに来たので、ほんの一二枚の著替えしかもっていなかったところから、病気が
長引くとみて、必要なものだけひと鞄東京の宅から送らせて、当分この町に滞在するつも....
「世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
いる。前日より一層|劇しい怒を以て、書いている。いやな事と云うものは、する時間が
長引くだけいやになるからである。午頃になって、一寸町へ出た。何か少し食って、黒ビ....
「消えた美しい不思議なにじ」より 著者:小川未明
はその邪魔をしている。あんなに幸福のにじがかかった。またそれだけ下界の滅びるのが
長引くわけだ。よし、妹がそういうようにみんなを守る気なら、わたしはいっそう根気よ....