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長櫃
「長櫃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
長櫃の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の手で壁の開閉器が捻られると、はたして法水の神測が適中していた。と云うのは、奥の
長櫃の上で、津多子夫人は生死を四人の賽の目に賭けて、両手を胸の上で組み、長々と横....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ものはかなり多い。彼が客に見せたいと思う古文書なぞは、取り出したら際限のないほど
長櫃の底に埋まっている。あれもこれもと思う心で、彼は奥座敷から古い庭の見える方へ....
「四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
に鼠がついて初めは一二匹であったものが、次第に多くなって防ぐことができないので、
長櫃の中へ入れておくうちに七月十一日になって死んでしまった。 田宮の家では源五....
「雪の宿り」より 著者:神西清
を振りかざし掛声も猛に、どこやらの邸から持ち出したものでございましょう、重たげな
長櫃を四五人連れで舁いて渡る足軽の姿などは、一々目にとめている暇もなくなります。....
「文づかい」より 著者:森鴎外
べし。 四方の壁と穹窿とには、鬼神竜蛇さまざまの形をえがき、「トルウヘ」という
長櫃めきたるものをところどころにすえ、柱には刻みたる獣の首、古代の楯、打ち物など....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
百斤云々とあり、又明月記に元久二年二月二十三日御七条院此間予可儲肴等持参令取居之
長櫃一土器居小折敷敷柏盛海松覆松とあれば昔時は貴人も食用に供せられたるならん」「....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
宗鑑《そうかん》に葛水《くずみづ》たまふ大臣《おとど》かな 実方《さねかた》の
長櫃《ながびつ》通る夏野かな 朝比奈が曽我を訪ふ日や初鰹《はつがつを》 雪信《ゆ....
「菜の花物語」より 著者:児玉花外
が近づいたがこれは田舎の婚礼であった、黒いのは一箇の両掛で、浅黄模様の被布をした
長櫃が後に一箇、孰れも人夫が担いで、八九人の中に怪しい紋附羽織の人が皆黙って送っ....
「春心」より 著者:田中貢太郎
「そう」 お高はあがって往った。二階は昇口の処に三畳敷位の空間をおいて箪笥や
長櫃を置いてあった。平吉は窓の傍に渋紙包を持って立っていた。 「なにをぼんやりし....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
たら卍丸へ運びこむから、支度をしておけと旦那がおっしゃったんで、たッた今女をこの
長櫃へ押し込んでいたところでさ」と、仲間の宅助、意味あり気に側の
長櫃を指さした。....