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長火鉢
「長火鉢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
長火鉢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ご》にも明らかだった。重吉はこの茶の間へはいると、洋服を和服に着換えた上、楽々と
長火鉢の前に坐り、安い葉巻を吹かしたり、今年やっと小学校にはいった一人息子の武夫....
「冬」より 著者:芥川竜之介
だね。」
「そうお、あたしも手足が冷《ひ》えてね。」
従姉は余り気のないように
長火鉢の炭などを直していた。………
(昭和二年六月四日)....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
た。
この頃|丸髷《まるまげ》に結《ゆ》ったお蓮は、ほとんど宵毎《よいごと》に
長火鉢を隔てながら、牧野の酒の相手をした。二人の間の茶ぶ台には、大抵《たいてい》....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
二時ですよ」と言った。成程十二時に違いなかった。廊下を抜けた茶の間にはいつか古い
長火鉢の前に昼飯の支度も出来上っていた。のみならず母は次男の多加志《たかし》に牛....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
後《うしろ》にある台所へ抜けて、晴れた日も薄暗い茶の間《ま》へ行った。茶の間には
長火鉢の上の柱に、ある毛糸屋の広告を兼ねた、大きな日暦《ひごよみ》が懸っている。....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
の具合《ぐあい》も手伝っていたことは確かだった。子供のない彼女はひとりになると、
長火鉢の前の新聞をとり上げ、何かそう云う記事はないかと一々欄外へも目を通した。が....
「或る女」より 著者:有島武郎
まし……三間《みま》ともとってはございますが」
そういいながら女将《おかみ》は
長火鉢《ながひばち》の置いてある六畳の間《ま》へと案内した。
そこにすわってひ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
は店の方へ、ばたばたと後退《あとずさ》りに退《すさ》った。 その茶の室《ま》の
長火鉢を挟《はさ》んで、差《さし》むかいに年寄りが二人いた。ああ、まだ達者だと見....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
いて、慌しげに来たのは綱次。 唯今の注進に、ソレと急いで、銅壺の燗を引抜いて、
長火鉢の前を衝と立ち状に来た。 前垂掛けとはがらりと変って、鉄お納戸地に、白の....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
そのころ「てつ」の話した、こういう怪談を覚えている。――ある日の午後、「てつ」は
長火鉢に頬杖をつき、半睡半醒の境にさまよっていた。すると小さい火の玉が一つ、「て....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
が、宗山先生の住居だった。 (お客様。)と云う女の送りで、ずッと入る。直ぐそこの
長火鉢を取巻いて、三人ばかり、変な女が、立膝やら、横坐りやら、猫板に頬杖やら、料....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
背中を睨んで、不服らしくずんずん通った。 が、部屋へ入ると、廊下を背後にして、
長火鉢を前に、客を待つ気構えの、優しく白い手を、しなやかに鉄瓶の蔓に掛けて、見る....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、むかしも今も、狸だって酒は呑める。 二人とも冷酒で呷った。 やがて、小形の
長火鉢で、燗もつき、鍋も掛ったのである。 「あれはね、いいかい、這般の瑣事はだ、....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
居ない、お縫は少しも怪しむ色なく、 「堪忍して下さい。だもんですから、」ずっと、
長火鉢の前を悠々と斜に過ぎ、帯の間へ手を突込むと小さな蝦蟇口を出して、ちゃらちゃ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
よ。」 「おや、母親がいった通り。」 「貴客、全くそう申すんでございますよ。」と
長火鉢の端が見えて、母親の声がする。 「ははははは、旨くやりましたね、(ほんとう....