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長途
「長途〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
長途の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「紋」」より 著者:黒島伝治
向うの漁村まで行った。 夜、じいさんは、夜なべに草履を作っていた。ばあさんは、
長途を往復した疲れでぐったり坐っていた。秋の夜風が戸外の杏の枝を揺がしていた。雁....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
た。 「なにが順序だって……」 「とにかくわたしどもの希望しますのは、みなさんは
長途のお疲れもあることとて、すべての心配と危惧をすててとうぶんはゆっくりとお好き....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
間遥に距《へだた》って居るけれども必ず見継ぐだろう。蒲生が会津を離れて動き出せば
長途の出陣、不知案内の土地、臨機応変の仕方は何程も有ろう、木村蒲生に味噌を附けさ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
死ぬまでの半分は※って、漸々其処を見たように思うですが。」 高坂は語りつつも、
長途に苦み、雨露に曝された当時を思い起すに付け、今も、気弱り、神疲れて、ここに深....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
たい一心で、膃肭獣の如く両手で匐って、そこを逃げだした。 「とにかく金よ、お前も
長途の旅行で疲れたろう。この寝室を貸してあげるから、ゆっくりひと寝入りしなさい。....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
乗り込んで間のない人たちへ報告して多少の参考ともなり、心の準備の一助とかあるいは
長途の旅の講談|倶楽部ともなれば幸だと思う次第である。 2 絵の技法そ....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
生は、気持よく笑ったので、おかあさんもほほえまずにはいられませんでした。こうして
長途の旅行は、日光と微笑と、たのしい言葉の、よい前兆ではじめられました。 「あた....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
眼となっている。幾分、地主的匂いがたゞよっている。 一兵卒の死の原因にしても、
長途の行軍から持病の脚気が昂進したという程度で、それ以上、その原因を深く追求しな....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
とだった。こういう青年を妹に何の気づかいも無く紹介して間もなく兄はフランス遊学の
長途の旅に立って行った。青年は夜になると庭から入って来た。かの女が夕飯を済まして....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
またそういう餞別を多分に貰いました。この中でも殊に私をして愉快に感ぜしめ、これが
長途の旅行中私の命を救う原因になったかもしれぬと思われた有力の餞別が三つあります....
「西航日録」より 著者:井上円了
の北方は荒原が海よりもひろく、あたかも陸上における太平洋のようであった。) 万里
長途一物無、唯看春草満平蕪、車窓認得人烟密、汽笛声中入露都。 (万里をゆく道は一....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
実況を知るの便を得たるを喜ぶ。当夜十二時、メルボルン港より出航して、七千マイルの
長途に上る。 十七日、曇り。タスマニア州の首府ホバートに寄港するために、海峡を....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
る。おもしろいじゃないか」 私達はそんなことにも旅先らしい興趣をおぼえながら、
長途のうさを払おうとしていた。すると私達の車室へ、どやどやと一団の人々が乗り込ん....
「がん」より 著者:小川未明
した。そして、しんがりを注意深いBがんがつとめ、弱いものをば列の真ん中にいれて、
長途の旅についたのであります。 冬へかけての旅は、烈しい北風に抗して進まなけれ....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
のであった。もっともこの時代には、普通の人民が遠方に旅行をすると云うことは少く、
長途の旅行を常に行うものは、大抵廻国の頭陀か、浮浪民かで、いわゆる一処不住の旅芸....