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門前町
「門前町〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
門前町の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いいのを幸いに、俄かに思い立って深川へ足を向けた。 今と違って、明治時代の富岡
門前町の往来はあまり広くない。その両側に露店が列《なら》んでいるので、車止めにな....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ながら、新幡随院のあたりへ来かかると、ここらも寺の多いところで、町屋《まちや》は
門前町に過ぎなかった。その寺門前で市子のおころの家を訊くと、彼女は蕎麦屋と草履屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い。半七は住職に逢っていろいろの質問を試みた後に、いずれ又まいりますと挨拶して、
門前町の霜どけ路へ出た。 「いい塩梅に風がちっと凪ぎましたね」と、松吉は云った。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
く、松、杉、桜の大樹が枝をかわして、見るから宏壮な古寺であった。 大きい寺には
門前町があるが、ここにも門前の町屋が店をならべて、ふだんも相当に賑わっているとこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も生きちゃあいねえらしい。そこで、亀。おれはこれから真っ直ぐに帰るから、おめえは
門前町をうろ付いて、あの寺の奴らについて何か聞き込みはねえかどうだか探ってくれ。....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
いますを、やがて奉行屋敷の鉄網の張ってある窓から同心が大きな声をして、 「芝新
門前町高井利兵衛貸金催促一件一同入りましょう」 などゝ呼込みますと、その訴訟の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せました。
思わぬ道草で時間をとり、広小路から末広町を通って、若宮裏へ廻って、
門前町へ出で、それから少し行き過ぎて、後戻りをして、樅《もみ》ノ木《き》横町から....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
けて斬りつけたが、なにしろこの暗夜、それに乾雲丸の切先|鋭《するど》く、とうとう
門前町《もんぜんちょう》の方角へ丹下の影を見失ってしまった。こう弁解らしくつけた....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
いと云うので、とうとう大小をすててしまい、大須観音の盛り場の――今日いうところの
門前町へ、袋物の店を出し、商人として世を終った。 (その屋号を『かみ屋』と云い、....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
めていた。
益満と小太郎とは、小者風であった。脇差を一本、提灯を一つ――芝中
門前町を出て、増上寺の塀の闇の中を、御成門の方へ、歩いて行った。
「多少、聞いて....
「九条武子」より 著者:長谷川時雨
った。天正十九年に、豊臣秀吉《とよとみひでよし》から現在の、京都下京堀川、本願寺
門前町に寺地《じち》の寄附を得た。しかし、この時に今日《こんにち》の東西本願寺―....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
石や瓦が飛びそうな騒ぎとは何のことだろうとお高がきいてみると、何でも、金剛寺
門前町に、このごろよろず屋というべき米、味噌《みそ》、醤油《しょうゆ》、雑貨から....
「おせん」より 著者:邦枝完二
けそめて、上野の森の恋の鴉が、まだ漸く夢から覚めたか覚めない時分、早くも感応寺中
門前町は、参詣の名に隠れての、恋知り男の雪駄の音で賑わいそめるが、十一|軒の水茶....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の丼《どんぶり》の底へ納い込んでから、ちょうど横町を通りかかった煮豆屋を頼んで片
門前町の目明し提灯屋亥之吉方へ注進させ、自分は半纏の裾を捲って屍骸の横へしゃがん....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
た。 いかなる人がこういう時、この声を聞くのであるか? ここに適例がある、富岡
門前町のかのお縫が、世話をしたというから、菊枝のことについて記すのにちっとも縁が....