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「門扉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

門扉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
母子叙情」より 著者:岡本かの子
すために、御影石の敷石の上に踵を立てて、こちこち表門の方へ、五六歩あゆみ寄った。門扉は、閂がかけてある。そして、その閂の上までも一面に、蜘蛛手形に蔦の枝が匍って....
縮図」より 著者:徳田秋声
かとも思われた。大場も株屋で、金融会社をも経営していたが、富士見町は本宅で、鉄の門扉に鉄柵がめぐらしてあり、どんな身分かと思うような構えだったが、大場その人はで....
落穴と振子」より 著者:佐々木直次郎
ろ、生命と平安と現われたり」 〔パリのジャコバン倶楽部の遺趾に建てらるべき市場の門扉にしるすために作られた四行詩〕 私は弱っていた、――あの長いあいだの苦痛の....
日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
年と続けて十数回の強震があった。安貞元年三月にも大地震があって、地が裂け、所所の門扉|築地が倒れた。古老はこれを見て、去る建暦三年和田佐衛門尉義盛が叛逆を起した....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
に封ぜられた当時に建設したここ長浜の城の大手門でありました。その証拠には、今でも門扉の金具の裏に、「天正十六年戊子八月十六日」と銘が打ってあり、なおまたその扉に....
南さんの恋人」より 著者:豊島与志雄
彼は門柱によろけかかって、後ろ手でやたらにベルの釦を押した。暫くたって、静かに門扉が開かれた。出て来たのは、女中ではなくて、山根さんだった。南さんはびっくりし....
霧の中」より 著者:豊島与志雄
てるのである。南さんは板塀をのりこして家にはいらなければならない。屋根のついてる門扉から少し離れたところ、勝手口に通ずる潜戸のわきに、高さ半メートルばかりの石の....
白い朝」より 著者:豊島与志雄
芝田さんの家の門は、ちょっと風変りです。その辺は屋敷町で、コンクリートの塀や、鉄格子の門扉や、御影石の門柱などが多く、至って近代的なのですが、そのなかに、道路より少し....
文学以前」より 著者:豊島与志雄
ている。街道に面して正門が一つ、ぽつりと建っていて、そこには門番は固より居らず、門扉は昼夜開け放しで、ただ門柱を二本立てたに等しい。それだけで、学院には敷地をめ....
北京・青島・村落」より 著者:豊島与志雄
の表情は、上海や天津に於けるような鋭さがないばかりか、至って退屈げである。夜間は門扉を閉してしまう城壁も、南京のそれのような厳しさは持たない。この北京の秋は、世....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
できた。メニルモンタン街にあった防寨には、肱金《ひじがね》からもぎ取られた大きな門扉《もんぴ》が見えていた。オテル・ディユーの小橋のそばにあった防寨は、馬を解き....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
ゅうりゅう》の下を通る時重々しい音をたて、それから並木道に出た。ビセートルの重い門扉は馬車の後ろにまた閉ざされた。私はただぼうぜんとして自分が運び去られるのを感....
牛乳と馬」より 著者:豊島与志雄
め切って、カーテンが下してあり、低い土手囲いの中央にある入口には、頑丈な木格子の門扉が閉鎖されていた。様子がおかしいので、横手へ回ってゆくと、野薔薇のからみつい....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
で、茅野雄は歩き出した。 と、松倉屋の邸の中から、荒々しく怒鳴る老人の声が、門扉を通して聞こえてきた。 怒号の意味は? 「……俺はお前を見損なったよ! そん....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
もあなたらしい、女煙術師などには逢いませんでした」 するとまたもや笑い声が、潜門扉の内側から聞こえて来たが、「それでは今度は女煙術師として、お目にかかることに....