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門標
「門標〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
門標の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ったらしい。 その駿河台の、ややお茶の水寄りの一角に、「戸波研究所」と青銅製の
門標のかかった大きな建物があった。今しも、そこの扉が、外に開いて、背の高い若い男....
「蠅男」より 著者:海野十三
かれてしまったか、残念なと思いながら引返してくる帆村の目に、傍の大きな文化住宅の
門標が映った。瀟洒な建物には似合わぬ鉄門に、掲げてある小さい
門標には「池谷控家」....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
奥から鳥渡姿を見せている堂々たる玄関が、意気揚々としていた彼の心を少し暗くした。
門標に筆太に書かれている支倉喜平と云う四字が威圧するように彼の眼を射った。 彼....
「微笑」より 著者:横光利一
。郵便配達からは小言の食いづめにあった。それからは固く釘で打ちつけたが、それでも
門標はすぐ剥がされた。この小事件は当時梶一家の神経を悩ましていた。それだけ、今ご....
「旅愁」より 著者:横光利一
まま眼で追って行く左側の所に、趣味の良い太めの建仁寺垣を連ねた門が見えた。そこの
門標にはまぎれもなく宇佐見の名がはっきり眼についた。彼は人通りの誰もない道路の中....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
でもそうだけど、五万円や八万円かかった住宅はどっさり建ってるでしょう。それでいて
門標を見れば、何処の誰だか分らない人の名ばかりじゃないの。世の中にお金が無いなん....
「小さな旅」より 著者:富田木歩
れは煙草屋や、駄菓子屋の屋号ではなくて、それらの家々の路地奥にある待合や芸妓家の
門標であることに気のついた頃はそうした軒燈を幾つとなく見て過ぎた。 旨そうな油....
「光は影を」より 著者:岸田国士
子をつけて、ぶらぶらと歩いて行つた。 以前のまゝの門構えの二階家、以前のまゝの
門標、たゞ、「味岡」と白木へ書いた墨の字が、彼のじつと据えた眼の中へ、生々しく飛....
「朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
の令嬢である宮田夫人が、牛込余丁町《うしごめよちょうまち》の邸の隣地に、朱絃舎の
門標を出させる家を造ってくれた。門をはいるとすぐ雷神木《らいじんぼく》があるのを....
「地上」より 著者:島田清次郎
を登りつめて右手の街路には高雅な板塀が続いていて、大きな鋼鉄の門に「天野栄介」と
門標が打ってある。傍の通用口を入ると花崗岩を敷きつめた路が両側の桜の樹の下を通じ....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
後れじと跡を逐わねばならなかった、十分間もこんな状態が続くと、春日は△△中学校と
門標のある中へサッサと這入り、名刺を出して校長に面会を求め、少時何か話していたが....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
家違いでもしたのではないかと見廻したが、やはりここは元の甲賀家、今では旅川周馬の
門標が打ってあるその屋敷には相違ないのである。そこに見返りお綱がいる! あの妖艶....