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開け放し
「開け放し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
開け放しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
は、好い加減古びたくぐり門があった。初子の視線を追った俊助は、そのくぐり門の戸を
開け放した向うに、見覚えのある紺と藍との竪縞《たてじま》の着物が、日の光を袂《た....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
につつまれて、髪をぼうぼうと乱したまま、愚かな眼と口とを節孔《ふしあな》のように
開け放してぼんやり坐っていた。しんしんと雪はとめ度なく降り出して来た。妻の膝《ひ....
「鮨」より 著者:岡本かの子
首を下げてステッキの頭に置く両手の上へ顎を載せるかして、じっと眺める。眺めるのは
開け放してある奥座敷を通して眼に入る裏の谷合の木がくれの沢地か、水を撒いてある表....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
聞こえ始めた。会衆の動揺は一時に鎮って座席を持たない平民たちは敷石の上に跪いた。
開け放した窓からは、柔かい春の光と空気とが流れこんで、壁に垂れ下った旗や旒を静か....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
同時に、さらさらさらさらと水の音が響いて聞こえる。「――また誰か洗面所の口金を
開け放したな。」これがまた二度めで。……今朝三階の座敷を、ここへ取り替えない前に....
「河明り」より 著者:岡本かの子
訊ねられるのを好まぬように素早く去った。 何か様子が妙だとは思ったが、窓障子を
開け放した河面を見て、私はそんな懸念も忘れた。 雪はほとんど小降りになったが、....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
であった。ピストルを発見した殊勲の佐々部長刑事は、もっとがっかりした顔になって、
開け放しになった口を閉じようともしない。検事の隣の椅子では、大寺主任警部が、これ....
「共軛回転弾」より 著者:海野十三
にして、部屋の中を動きまわっている。失意か、得意か、さっぱり分らない。チーア卿が
開け放しにしていった大金庫の前を幾度か行き過ぎるが、その方には見向きもしない。 ....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
聞いた。 帆村は構わず、竹田博士研究所の門前に近づいた。石段の上に、玄関の扉が
開け放しになっていて、その奥には電灯が一つ、荒涼たる光を投げていた。しかし人影は....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
のリサに会い度くなってしまった。新吉は一応内懐の紙入れを調べて帽子を冠りドアーを
開け放して来てから、椅子に腰掛けてリサを待ち受けた。いら/\した貧乏ゆすりが出た....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
もう鼾をかいた。四十匁蝋燭は燃え残って五分ほどになり、赤々と燃え上る火光は、彼の
開け放しの口を照した。 「すまねえ、すまねえ」阿Qはたちまち大声上げて起き上った....
「春」より 著者:岡本かの子
って、「はい」と返事をする代りに、はっ、と息を吐いたが、そのはずみに足が動いて、
開け放しになっていた玄関の中へするすると動物的なすばしこさで遁げ込んでしまった。....
「あほう鳥の鳴く日」より 著者:小川未明
た鳥か、また、剥製のように見られたのでありました。 男は、夜おそくまで、障子を
開け放して、ランプの下で仕事をすることもありました。夏になると、いつも障子が開け....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
かりではない。室内は勿論、戸棚から本箱から悉く引掻き廻され、抽斗という抽斗は全部
開け放しになっている。書類はあっちこっちに飛び散り、床の上に転がされてあるインキ....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
は立ち止って、半開きになっている窓を指差し、 「あの窓のある部屋ですの、ああして
開け放しておくのは不用心ですから、廊下の方へ向いたドアに新らしく鍵をつけて、あす....