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「開港場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

開港場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
すめ」「らしゃめん」というような言葉さえそのはしたない言葉の中には交じっていた。開港場のがさつな卑しい調子は、すぐ葉子の神経にびりびりと感じて来た。 何しろ葉....
或る女」より 著者:有島武郎
気の中にあざやかにならんでいた。その間に英国の国旗が一本まじってながめられるのも開港場らしい風情《ふぜい》を添えていた。 遠く海のほうを見ると税関の桟橋に繋《....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
わさすら伝わって来た。 とうとう、寛斎は神奈川の旅籠屋で年を越した。彼の日課は開港場の商況を調べて、それを中津川の方へ報告することで、その都度万屋からの音信に....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
坂地方もすでに鎮定したので、関税その他を新政府の手に収めることを先務として、兵庫開港場警衛の命を受けて来た人たちであったろう。英国兵はそれとは知らないから、備前....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
かれてあって、幕府の洋書取調所(蕃書取調所の後身)に関係のあったものもあり、横浜開港場の空気に触れる機会の多かったものもある。それらの人たちはまた、閲歴も同じく....
明治大正美人追憶」より 著者:長谷川時雨
た。また赤坂で、町芸者|常磐津《ときわず》の師匠ともつかずに出ていたおちょうが、開港場の人気の、投機的なのに目をつけて横浜にゆき、生糸王国をつくった茂木、野沢屋....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
小市街。 無視する。 黙過する。 抹殺する。 やがて巴里――異国者の開港場。 その巴里が、2・30PMのブウルジェが、ふたたび「社会」が人性が生活....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
SBOAと書いて「リスボア」と読んでる―― anyhow, ふるい水に沿った古い開港場に、喚く人間と恐るべき言語と、日光と雨と売春と、疾病と夕陽の壁と水夫の唾と....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
兵馬もあの話は誰かのこしらえごとではないかと思いました。 兵馬の頭はこの新しい開港場へ来ると、いたく動揺してしまいました。何か大きな渦の中へでも捲き込まれて行....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
、追々上達して味も生ずるようになったからだ。当時諸外国との関係上、いよいよ横浜を開港場として外国人が住むことになり、幕府では仮条約を結ぶというので、攘夷党は益々....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
かさ》ばらない商業だった。時々|下職《したじょく》が註文をうけに来ていた。連合は開港場の横浜で手びろくやっていた、派手な商館相手の商人だったが、おしょさんのため....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
いた時分、若い衆であったお店《たな》の人甚兵衛さんが思いついて夫婦になり、当時の開港場横浜取引の唐物屋になったのだ。この鬼眼鏡に睨《にら》まれて、三十歳になるか....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
パンが絶対に居ないのである。こういうところは実に長崎的々ですよ。黒船時代に於ける開港場長崎の丸山の女性が、今日の世態風俗に照り合して元公爵夫人に似ているか、映画....
西航日録」より 著者:井上円了
ンに着す。また快晴なり。暑気、わが九月彼岸ごろに似たり。 ホンコンは東洋第一の開港場にして、家屋の広壮、市街の繁盛、ほとんどサンフランシスコに譲らず。ただその....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
うるに、日本人拒絶のために旅行の非常に困難なりというを聞きて、南アフリカの視察は開港場だけにとどむることに決定せり。喜望峰より南米に渡らんとするに、直航の客船な....