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「閑か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

閑かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
》のなかに発電所が見えはじめ、しばらくすると谿の底を提灯《ちょうちん》が二つ三つ閑かな夜の挨拶を交しながらもつれて行くのが見え、私はそれがおおかた村の人が温泉へ....
「碧蹄館の戦」より 著者:菊池寛
新手に正面の明軍を譲った。明軍の進撃の有様を書いたものに、 「敵の人数色黒み備｜閑かにして勢い殊之外見事也。間近になると拍子を揃え太鼓を鳴らし大筒を打立黒烟を立....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
こと、之に過ぎたるはなし。宜しく、天下諸国につげ、男女老少を論ずることなく、口に閑かに、般若波羅蜜多を念誦すべし」 というのであります。これは『続日本紀』の第....
「旅愁」より 著者:横光利一
。暫く二人の黙っている前で、鯉がぐるりと尾で泥を濁しあげては廻游して行く水面に、閑かに春の日が射していた。 「母もあなたのことはもう気附いている風なんだが、それ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
に、顱巻を緩くしたのに、ほかほかと春の日がさして、とろりと酔ったような顔色で、長閑かに鍬を使う様子が――あのまたその下の柔な土に、しっとりと汗ばみそうな、散りこ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
だ一人、三角畑の角に立って、山を背に繞らしつつ彳んでいるのであった。 四辺の長閑かさ。しかし静な事は――昼飯を済せてから――買ものに出た時とは反対の方に――そ....
「小春」より 著者:国木田独歩
。われ今再びかの牧場を見るなり。緑草直ちに門戸に接するを見、樹林の間よりは青煙｜閑かに巻きて空にのぼるを見る、樵夫の住む所、はた隠者の独座して炉に対するところか....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
つ勤人の遠距離の住宅地の一つなのであろう。それ故に田舎町にしては小ざっぱりとして閑かであった。たとえ道を訊くためにドアのベルを鳴らしても出て来る家族は、不愛想な....
「私の若い頃」より 著者:宮城道雄
、思いがけなく暖かい日もあった。 春が来るのは遅かったが、春になると鳥の声が長閑かであった。夏の昼間はきびしいが夕風が立つと、夜寒を感じるのであった。 眼で....
「神楽坂」より 著者:矢田津世子
ように扇子を動かして、何んとなくいい気分で煙草屋の角から袋町の方へのぼって行く。閑かな家並に挟まれた坂をのぼりつめて袋町の通りへ出たところに最近改築になった鶴の....
「松園女史の思い出」より 著者:金子薫園
ない。 窓越しに見ると、莟のふくらみかけた大木の丁子の枝遷りして、わが世の春の閑かさ暖かさをこの時に萃めているように。 （昭和二十五年）....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ばない響は聞えない。 潜り入れ、花の萼に、 深く、深く、岩の迫間、 木の葉の蔭に閑かに住むために。 あの音に出合ったら、お前達は聾になる。 ファウスト ....
「六日月」より 著者:岩本素白
高台寺下の通りを再び祇園の方へ引返す。 此処から南へ清水へ行く通りは、まことに閑かな趣のある所である。昼ならば蘭の花漬け、芹の味噌漬け、柚味噌の看板の出て居る....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「そうか。ではそこで」 高氏は、奥へ通った。そして初めて、鎌倉山のしたたりや、閑かな林泉に耳を洗われた。 すると夕刻頃、また、べつな老臣が、顔を見せ、 「た....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
刃が、物の気持ちよく、それも音もなく、（恐らく澄心の極とはこうした無音だろう。）閑かに、無気味に、降りて、その円弧の端が触れると、 じゅうである。 そのまま....