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閑却
「閑却〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
閑却の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
の方が道順《みちじゅん》だから。」
俊助は黙って頷《うなず》いたまま、しばらく
閑却《かんきゃく》されていた埃及煙草《エジプトたばこ》へ火をつけた。それから始め....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
題する魚住氏の論文は、今日における我々日本の青年の思索《しさく》的生活の半面――
閑却《かんきゃく》されている半面を比較的|明瞭《めいりょう》に指摘した点において....
「弓町より」より 著者:石川啄木
ともに、その知識の上にある偶像を拵《こしら》え上げて、現在の日本を了解することを
閑却《かんきゃく》しつつあるようなことはないか。両足を地面《じべた》に着けること....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
い。帰納法は記述にのみ役立つ。然し本体の表現には役立たない。この簡単な原理は屡※
閑却される。科学に、従って科学的研究に絶大の価値をおこうとする現代にあっては、帰....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ルギーのみを問題として、これよりはるかに有力な化学的過程によるエネルギーの源泉を
閑却したためにそこに困難が残されていたのであるが、しかしこの場合における諸関係を....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
面の敵を牽制して居る。『太平記』は正行の奮闘は詳説するくせに、此等の諸軍の動静を
閑却して居るが、師泰なんか四条畷戦後、北畠軍に大いに進軍を防遏されて居るのである....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
い。仮りに機械に喩えると此の機械は、一個所、非常に精鋭な部分があり、あとは使用を
閑却されていると言って宜い。無口で鈍重な逸作が、対社会的な画作に傑出して居るのは....
「人形の話」より 著者:折口信夫
一方、他の「ひひな」をみると、このことは既に述べたが、日本の雛の歴史を調べるのに
閑却できないのは、奥州一円にみられる「おしらさま」の存在である。こちらにくると観....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
の日本の新劇に、ともかく、演出の上でも、演技の上でも、一番欠けているのは、或は、
閑却されているのは、なによりも「流露感」だと思います。上滑りをしてもいいというの....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
しき家庭遊技などを輸入するものは、国民品性の特色を備えた、在来の此茶の湯の遊技を
閑却して居るは如何なる訳であろうか、余りに複雑で余りに理想が高過ぎるにも依るであ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
。第九輯巻四十九以下は全篇の結末を着けるためであるから勢いダレる気味があって往々
閑却されるが、例えば信乃が故主成氏の俘われを釈かれて国へ帰るを送っていよいよ明日....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
の制帽と服で、鍵裂だらけで、素足に高足駄を穿いた勇壮な少年がある。酒の席などでは
閑却されたが雪代夫人の弟である。 「……先生、学校でも、教師も生徒も知ってるんで....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
比なしとせず。層雲峡の絶景に比すべくもあらず。塩谷温泉の連中は、旭岳と羽衣滝とを
閑却したるが、その代り層雲峡と北鎮岳とを窮めたり。この方が旭岳と羽衣滝とを窮むる....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ルランド、エセックス、戦争か平和かの永遠の課題――だのに彼女はそれらのいっさいを
閑却して、「アルス・ポエチカ」を英語に翻訳した。アイルランドについては、もう彼女....
「文化線の低下」より 著者:小川未明
がためです。この意味に於て、世の中は、進歩したと言えぬばかりでなく、精神的方面を
閑却するために、文化戦線は低下したと言えるでありましょう。人間は、善美の理想に向....