閑古鳥[語句情報] » 閑古鳥

「閑古鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

閑古鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夏秋表」より 著者:立原道造
に啼いて、あとは行方も知らない。その日々の高原の空にはほととぎす、やぶうぐいす、閑古鳥などの唄がひびいていた。そのなかに、春蝉は彼のかなしい感傷の小曲をうたいあ....
碧眼托鉢」より 著者:太宰治
ている秘密を、君は、三つか四つ――筈である。 憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥 「日本浪曼派」十一月号所載、北村謙次郎の創作、「終日。」絶対の沈黙。うご....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
俊さんまでが、「へん、あの人でも思い出したかい……」と云った。――皆淋しいお山の閑古鳥《かんこどり》だ。うすら寒い秋の風が蚊帳の裾を吹いた。十二時だ。 (十月....
春昼」より 著者:泉鏡花
美濃、近江、加賀、能登、越前、肥後の熊本、阿波の徳島。津々浦々の渡鳥、稲負せ鳥、閑古鳥。姿は知らず名を留めた、一切の善男子善女人。木賃の夜寒の枕にも、雨の夜の苫....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
……」 「何と書いてございますか」 「左様――淋《さび》しさや何が啼《な》いても閑古鳥《かんこどり》」 「ほんとに、淋しい道でございますね、誰も人が通りませんわ....
北国の人」より 著者:水野葉舟
ので……それに私の国では昼間鳴く鳥は少ないのですから。時鳥《ほととぎす》だとか、閑古鳥《かっこう》だとか、それからまだいろいろあります。」 「そのB野に、朝早く....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
。これは日本橋油町の鉾出車《ほこだし》にあったもので、神田田町の「猿」、京橋の「閑古鳥《かんことり》」と並んで、有名な日本橋の「竜神《りゅうじん》」とは違うが維....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
い処は卑怯だけれど、鯨より小鮒です、白鷺、鶉、鷭、鶺鴒、皆な我々と知己のようで、閑古鳥よりは可懐い。 山、海、湖などがもし天然の庭だったら、田圃はその小座敷だ....
風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
していた。春と夏とが殆んど同時に押し寄せて来たかのようだった。毎朝のように、鶯や閑古鳥の囀りが私達を眼ざませた。そして殆んど一日中、周囲の林の新緑がサナトリウム....
美しい村」より 著者:堀辰雄
のを待っているばかりだと言った感じがみなぎっています。山鶯《やまうぐいす》だの、閑古鳥《かんこどり》だのの元気よく囀《さえず》ることといったら! すこし僕は考え....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ッコウかホトトギスか、或は両者ともにそう云われたか、未だ定説が無いが、カッコウ(閑古鳥)を呼子鳥と云った場合が最も多いようである。「象の中山」は吉野離宮のあった....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
て、翌朝円タクを呪うのである。 こういう次第で、異教徒どもは離れ去り、ハレムに閑古鳥がなき、三百人の美姫のうち、目ぼしいのは去ってしまった。これ即ち、やがて巷....
地方文化運動報告」より 著者:中井正一
、特攻クズレは白いマフラを巻いて群をなしてうろついている。それだのに私の講演は、閑古鳥が鳴きつづけた。その寒むざむとした思いは、今思い出しても腹の冷えるような思....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
た、お俊さんまでが、 「へん、あの人でも思い出したかい……。」 皆淋しいお山の閑古鳥。 何か書きたい。何か読みたい。ひやひやとした風が蚊帳の裾を吹く、十二時....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
《あさね》かな 妹が垣根三味線草の花咲きぬ 卯月《うづき》八日死んで生るゝ子は仏閑古鳥《かんこどり》かいさゝか白き鳥飛びぬ 虫のためにそこなはれ落つ柿の花 恋さ....