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間に立つ
「間に立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
間に立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
お見惚《みと》れる。
この狭い谷の中の小さい池は、我らの全宇宙である、過去の空
間に立つ山と、未来に向って走る川との間に介《はさ》まって、池は永《とこし》えに無....
「新生」より 著者:島崎藤村
さねば成らなかった。岸本は先ずその崖を飛び降りて見せた。それから崖はずれの樹木の
間に立つ節子を見上げた。
「お前にそこが降りられるかね」
と言って岸本が手を貸....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
八中りの尖った声で答えた。 「勘次さんはお家ですかえ」 空駕籠を片寄せてある土
間に立つと、長火鉢の前にあぐらをかいていた勘次が首をのばした。彼は三十四五の、背....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
れは善くないから取りかえてくれろの、これは悪くもないがもッと安くしてくれろのと、
間に立つものは毎日気の休まる時がございません。それが田舎行きとなると、幾度も往復....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
して吾々は真理をば内容的原理の概念である。 形態は個々の内容と一般的形式との中
間に立つ、前者に対する限り夫は一般的であり後者に対する限り夫は内容的であるであろ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
笠書房)で、日本の教育と宗教との風俗描写を含んでいる。そして本書は第一と第二の中
間に立つものだ。 一九三七・三・一五 東京 戸坂潤 第一部 日本の社会現象....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
姿あり。やがてはたと地に落ちて、土蜘蛛の縮むごとく、円くなりて踞りしが、またたく
間に立つよとせし、矢のごとく駈け出して、曲り角にて見えずなりぬ。 頭巾をば掻取....
「最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
うのも、博士の解説のように男帝への中継ぎの天子という意でなく、宮廷神と天子との中
間に立つ一種のすめらみことの意味らしくある。古事記・日本紀には天子の性別について....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
間にはたくさんあったが、女の芸人として唯一の誇りを失った彼女は、再び芸を売って世
間に立つ心は失せてしまった。周囲の人達がしきりに止めるのも肯かないで、雛吉は思い....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
併呑し、結局資本と資本の競争となるだろうと思われる。ゆえに資本の少なき者が、この
間に立つにはよほど工夫を要する。 およそ実業に関係する諸学校出身者の多くは、自....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
、わたしが先輩として常に彼を尊敬しているからでした。わたしも将来は弁護士として世
間に立つつもりで勉強中の身の上ですから、自分よりも年上の彼に対して敬意を払うのは....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
福な家の子である私を敵にするよりも妥協しようと努めだした。そこで私は自ずと両方の
間に立つようになり、そして京市君にせがまれて、家が売っていた砂糖を持って行ってや....
「光は影を」より 著者:岸田国士
の関係もない。重要なことは、この聡明らしくみえる一少女が、小萩と彼、京野等志との
間に立つて、どういう役割を果すことかできるかということである。 百瀬しのぶから....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
に手数を掛けたり多少の骨折をさせたりした事をお関いなしに破毀されてしまっては、中
間に立つ社員は板挟みになって窮してしまう。あるいはまた、同じ仕事を甲にも乙にも丙....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
してだれが故郷を思わないことがあろうか、ひとりみずからの節を守って大西洋の大波の
間に立つ。) 波心孤島臥、繋声。 (波濤のなかにぽつんと島があり、船をつなぎとめ....