関の戸[語句情報] »
関の戸
「関の戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
関の戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
力車が走り去る音がかすかに聞こえて、やがて遠くに消えてしまった。看護婦が激しく玄
関の戸締まりする音が響いて、そのあとはひっそりと夜がふけた。遠くの部屋でディフテ....
「星座」より 著者:有島武郎
」
といいながら、そこにあった下駄を片方の足だけにはいて、斜に身を延ばして、玄
関の戸を締めた。股《また》をはだけた奥さんの腰から下が渡瀬のすぐ眼の前にちらつい....
「世相」より 著者:織田作之助
にはいった。そして大きな嚔を続けざまにしたあと、蒲団の中で足袋を脱いでいると、玄
関の戸を敲く音が聞えた。家人は階下で熟睡しているらしい。 風が敲くにしては大き....
「蠅男」より 著者:海野十三
の号令ぶりをみせた。 「――それから別に、お前とお前とで、この鉄の門を越えて、玄
関の戸を叩いてみい」 声の下に、二名の警官が勇しく鉄の門に蝗のように飛びついた....
「わが町」より 著者:織田作之助
思い、なにか安心した。 「さよなら、精落さんようにしとくれやっしゃ」 蝶子が玄
関の戸をあけた拍子に、君枝の眼に空がうつった。 降るような星空だった。....
「密林荘事件」より 著者:海野十三
だか胸騒ぎがしてきたので、山荘の十間ほど手前から駆け出して、家へ飛込みました。玄
関の戸を開いて中へ足を踏み込みますと、さあたいへん、僕は彼より五分間後れて帰った....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
はそんなことを気にしなかったもんで正確なことは覚えていませんが、家政婦の小林が玄
関の戸を開けて私を中へ入れたから、小林が覚えているでしょう」 そういって亀之介....
「時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
したのだ。 四少年は顔を見合わせた。 「あの音は、なんだろう」 「時計屋敷の玄
関の戸がひらいたんじゃないかしらん」 「笑ったようだね、誰だろう」 「村の衆《し....
「小公女」より 著者:菊池寛
たが、今日は旅にでも出るらしく、母親や子供達とお別れの接吻をしていました。 玄
関の戸が開いたので、セエラはいつかお金をもらった時の事を思い出し、見つからぬ先に....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ものばかりでした。それは、今の世の中で毎日みているとおりの東通でした。参事官は玄
関の戸に足をむけて腹ンばいになっていたのです。すぐむこうには町の夜番が、すわって....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
も判らず、世間づきあいも出来ず、他人の仲介がなくてはひとに会えず、住所を秘し、玄
関の戸はあけたことがなく、孤独な将棋馬鹿であった坂田の一生には、随分横紙破りの茶....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
れた体を安楽椅子から起こしてぼろ自動車で踏み散らされた前庭を少し手入れしようと玄
関の戸を開けて階段を下りかけたが、ちょっと立止まって晴れ上った夏の青空を眺めた。....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
かしさがこみ上げて来て、 「――ここは焼けないで良かった」 と、喜びながら、玄
関の戸をあけると、三足の男の靴が脱ぎ捨ててあった。 それをちらと眼に入れながら....
「活人形」より 著者:泉鏡花
鹿! 外から鎖を下して行く奴があるもんか。とむかばらたちの八ツ当り。 折から玄
関の戸を叩きて、「頼む、頼む。と音訪う者あり。聞覚えのある声はそれ、とお録内より....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ら、どうぞお勝手に食べて」、そう言って、私たちお客のところへ近寄って、その家の玄
関の戸の鍵を手渡しながら「お帰りの時、この鍵で外からかけて下さい。そしてその鍵を....