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「闃寂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

闃寂の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
と思っていると、ぱちんと云う音がして、折鞄を開けて、何か取出したらしかった。後は闃寂《ひっそり》して、下の茶《ちゃ》の室《ま》の簷端《のきば》につるしてある鈴虫....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
「大丈夫鳴きます。あの鳴き声は昼でも理科大学へ聞えるくらいなんですから、深夜|闃寂《げきせき》として、四望《しぼう》人なく、鬼気|肌《はだえ》に逼《せま》って....
新生」より 著者:島崎藤村
へと出た。そこまで行くと人足達の姿も高い墓石に隠れて、唯土でも掘り起すらしい音が闃寂《しん》とした空気にひびけて伝わって来ていた。 ふと昔の友達の青木が住んだ....
」より 著者:島崎藤村
たが、何時の間にかこれも出て行った。広い家の内にはお種一人残った。 急に周囲が闃寂として来た。寺院のように人気が無かった。お種は炉辺に坐って独りで静かに留守居....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
州帝国大学構内を包む春の夜の闇は、すさまじい動物どもの絶叫、悲鳴の裡に、いよいよ闃寂として更け渡って行くばかりで御座います。 やがてその声が次第に遠ざかって、....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
で何処へか行きそうにして、忽ち物に行当ったように、礑《はた》と止む。と、しばらく闃寂《ひッそ》となる――その側《そば》から、直ぐ又穏かにスウスウという音が遠方に....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
を「緑林黒白」には次のような文章で書き記してある。 「門ヲ入レバ内庭ニシテ、四辺闃寂人影無シ、中央ニ大池アリ。奇巌怪石岸ニ聳チ、一切前景ヲ遮ルアリ、両人即チ池ヲ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
し、それよりもっと驚いたのは、その屋敷内が整然と、掃除が行き届いているにも似て、闃寂と人気のないことで、あたかも無住の寺のようであった。 しかしじっと耳を澄ま....