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「闇い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

闇いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
にすら寒そうな漣が立っている。日が暮れると間もなく大概の店は戸を閉めてしまった。闇い一筋町がひっそりとしてしまった。旅人宿だけに亀屋の店の障子には燈火が明く射し....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
の、子供らしい思い附きにすぎないのであった。 自動車を還して、二人で探偵社の薄闇い応接室へ入って行ったが、しばらく待たされている間に小夜子は思いついたように、....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
満の男。駒下駄に縞物ずくめの小商人と云う服装。眉から眼にかけて、夕立の空の様な真闇い顔をして居る。 「私は是非一つ聞いていたゞきたい事があるンで」 と座に着くな....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
んが好きと云わないから宜いじゃ有りませんか」 「その分疏《いいわけ》闇《くら》い闇い。文さんのような人が好きも文さんが好きも同じ事で御座います」 「オホホホホそ....
二少女」より 著者:国木田独歩
のお濠ばたを十八ばかりの少女、赤坂の方から物案じそうに首をうなだれて来る。 薄闇い狭いぬけろじの車止の横木を俛って、彼方へ出ると、琴平社の中門の通りである。道....
太十と其犬」より 著者:長塚節
んだ。猫がないので鼠は多かった。竹藪をかぶった太十の家は内も一杯煤だらけで昼間も闇い程である。天井がないので真黒な太い梁木が縦横に渡されて見える。乾いた西風の烈....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
うことだ。 六千年といえば、長い人類の歴史をも遥か下の方に見くだして、その頭は闇い「忘却」のかなたに入っている。その間樹は絶えず成長を続けて来たのだ。その脚の....
青草」より 著者:十一谷義三郎
女を顧みた。 「見える?」 「なあに?」 「星さ。」 「あんなに光ってる。」 「闇いね。北斗星はどこ?」 彼女は手を挙げた。兄は黒眼鏡のかかった顔をひたりとそ....
死者の書」より 著者:折口信夫
れるらしい塒鳥が、近い端山の木群で、羽振きの音を立て初めている。 おれは活きた。闇い空間は、明りのようなものを漂していた。併し其は、蒼黒い靄の如く、たなびくもの....
初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
のには窓という窓に明るい光が映っている。車が方向をかえるたびに、そういう建物が真闇い空にぐるぐる廻転するように見えた。何十年も昔、世界のどこかの果のどこかの都市....
梟啼く」より 著者:杉田久女
悪になって来た。その上船火事が起って大騒ぎだった。大洋上に出た船、而かも真夜中の闇い潮の中で船火事などの起った場合の心細さ絶望的な悲しみは到底筆につくしがたい。....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
て来たのかと怪しみながら、播磨は濡れた笠を十太夫に渡して奥へ通ると、伯母の真弓は闇い灯の下に坐っていた。雄々しい気性で生きているせいか、真弓は昔のままにすこやか....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
、昼ですか」と尋ねると、女房は打案じて、「サア何時と限った事もありませんが、マア闇い時の方が多いようですね、ツマリ闇いから其様な疎匆をするのでしょうよ」と澄して....
獄中通信」より 著者:戸坂潤
送って呉れて当地に疎開したわけ。久し振りに東京の街の有様を見、荷物にゴッタ返した闇い車内、スッカリ変った服飾など見てウタタ感慨が深かったが、夜があけると世界は一....
大岡越前」より 著者:吉川英治
は、池をめぐって、知らず知らずその灯の方へ足を向けていたが、ふと、薄月夜のひろい闇いッぱいに、耳をすまして、立ちどまっていた。 「オヤ。幼な児の泣き声がする……....