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闇夜
「闇夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
闇夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
改札口を出るまでは躊躇《ちゅうちょ》せず急いで出たが、夜は意外に暗い。パッタリと
闇夜に突当って予は直ぐには行くべき道に践《ふ》み出しかねた。 今一緒に改札口を....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
えのだ。何も穿かねえというんじゃねえ。しかもお提灯《ちょうちん》より見っこのねえ
闇夜《やみ》だろうじゃねえか、風俗も糸瓜《へちま》もあるもんか。うぬが商売で寒い....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
したか?」 すると黒塚氏は、口元に軽く憫むような笑いを浮べながら、 「なにぶん
闇夜で、生憎薄霧さえ出ましたからね……」 そこで東屋氏も笑いながら、 「お風邪....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
山伏と言っぱ山伏なり。兜巾と云っぱ兜巾なり。お腰元と言っぱ美人なり。恋路と言っぱ
闇夜なり。野道|山路厭いなく、修行積んだる某が、このいら高の数珠に掛け、いで一祈....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
「一大事とは、何事だ」 「第一岬|要塞の南方洋上十キロのところにおいて、折からの
闇夜を利用してか怪しき花火をうちあげた者がございます」 「なんじゃ、
闇夜? はて....
「火星兵団」より 著者:海野十三
に、柱時計は、もう十二時をまわっていた。
外は、まっくらだった。星一つ見えない
闇夜だった。
だが、風は全くない。鰻をとるのには、もってこいの天候だった。
....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
の玉」少尉も、全く思いがけないこの不意打には、腹の底から大きな愕きの声をあげた。
闇夜の空を漂流中のゴンドラの中には、彼ただひとりがいるばかりだと思っていたのに、....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
い道灌山の聴音隊からも、ただいま敵機の爆音が入ったとしらせてきた。敵機は折からの
闇夜を利用しいつの間にか防空監視哨の警戒線を突破し、秩父山脈を越えて侵入してきた....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
あるまいか。もし、そうだったら帝国の安危にかかわる重大使命はどうなるというのだ。
闇夜の試運転 予定からちょうど二十四時間も遅れて、海の大怪物浮かぶ飛行島は、い....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ど、どうしても分りません、調子が一つ出来ません。性来でござんしょう。」 師走の
闇夜に白梅の、面を蝋に照らされる。 「踊もかい。」 「は……い、」 「泣くな、弱....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
水らしい水とも思わぬこの細流の威力を見よと、流れ廻り、駈け繞って、黒白も分ぬ真の
闇夜を縦に蹂躪る。と時々どどどと勝誇って、躍上る気勢がする。 その流れるに従う....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
れていると、四日過ぎての真夜中に彼はたちまち城内につまみ出された。その時はしんの
闇夜で、一隊の兵士と一隊の自衛団と一隊の警官と五人の探偵がこっそり未荘に到著して....
「眉の記」より 著者:上村松園
ない瑞々しさをその青眉に感じるのである。 そして剃りたての青眉はたとえていえば
闇夜の蚊帳にとまった一瞬の螢光のように、青々とした光沢をもっていてまったくふるい....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
いまだ致されぬが、しかし、一足二身三手四口五眼を逆に行って、彼の眼は天下無敵だ。
闇夜の太刀の秘術を教えざるにすでに会得している。怪剣士というは彼がことである」 ....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
何故ツて、それは随分思い切つた申出であつた。三日月の光があるとは言つても、殆ど
闇夜に近い暗い遠い夜路を、二人だけで帰ろうというのだつたからである。ほかに連れが....