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「闇市〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

闇市の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
グッド・バイ」より 著者:太宰治
い。 獲物は帰り道にあらわれる。 かれはもう、絶望しかけて、夕暮の新宿駅裏の闇市をすこぶる憂鬱《ゆううつ》な顔をして歩いていた。彼のいわゆる愛人たちのところ....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
の金を持たぬ、うらぶれた人種だというのである。ところが、銀ちゃんの仲間の多くは、闇市のボスになり、キャバレーと特殊関係を作り、またたく間に産をなして、もはや宵を....
世相」より 著者:織田作之助
…壕舎ばかりの隣組が七軒、一軒当り二千円宛出し合うて牛を一頭……いやなに密殺して闇市へ売却するが肚でがしてね。ところが買って来たものの、屠殺の方法が判らんちゅう....
河沙魚」より 著者:林芙美子
平は筍《たけのこ》を仕入れて来たと云って、これから野菜と一緒にリヤカアで、東京の闇市《やみいち》へ売りに行くのだと支度《したく》をしていた。 「おい、隆吉が戻っ....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
かなお金で私は街に出た。街といっても戦後の殺風景なバラック建の店屋である。そして闇市。ここには中国人の濃い体臭と、すえた食物の臭いがぎっしりつまって細い道の両側....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
れた旅行者らしきものは私ひとり、いくらか人の肩と肩がすれちがうのは道幅一間ほどの闇市だけで、大通りは、光と影をみだすものとては熱気のこもった微風だけである。常に....
乾杯」より 著者:豊島与志雄
かな宴を催しました。 山の幸、野の幸、海の幸と言えば大袈裟ですが、街頭に栄えた闇市場で普通に手に入る材料の、普通の料理でありました。客は、各層の少壮中堅どころ....
母の上京」より 著者:坂口安吾
男は戦争前から屋台のオデンが商売なのだが、田舎に疎開してゐたために立ちおくれて、闇市で魚屋の手伝ひなどをやつてゐたのを、夏川が知り合つて助けてやつたのだ。夏川よ....
」より 著者:織田作之助
めだ。探して出て来ても、旧円じゃ仕様がない」 「みすみす反古とは、変なものだね。闇市で証紙を売っていたということだが、まさかこんな風に出て来た紙幣に貼るわけでも....
神経」より 著者:織田作之助
がら三※日は見たくなかった。が、ラジオのレヴュ放送を聴いていると、浮浪者や焼跡や闇市場を見るよりも一層日本の哀しい貧弱さが思い知らされた。 近頃レヴュの放送が....
中毒」より 著者:織田作之助
し、まして最後の一夜を共にしようという気も起らない。そんな宿屋を探すくらいなら、闇市の煙草を探したいのだ。再び会えない女とよりも、百本の煙草と共に夜を過したいの....
大阪の憂鬱」より 著者:織田作之助
な話は殆んどない。よしんばあっても、さし障りがあって書けない。 「音に聴く大阪の闇市風景」などという注文に応じてはみたものの、いそいそと筆を取る気になれないので....
夜光虫」より 著者:織田作之助
で歩きにくかったので、急いだつもりだが、阿倍野橋まで一時間も掛った。 阿倍野の闇市のバラックに、一、二軒おそくまで灯りをつけている店があった。 立ち寄って、....
大力物語」より 著者:菊池寛
あった。狐と大力とは別に関係はないわけだが、狐の兇悪な性質を受けたと見え、現在の闇市の親分のように、商人をいじめては、いろいろな品物を奪いとっていた。ところが、....
鷺娘」より 著者:大倉燁子
ていたので、黙っていると、百合子はまゆみの気持ちを損じたとでも思ったのか、駅前の闇市で買ってきたという南京豆入りの飴を出してすすめ、自分も口に入れて、 「内玄関....