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闇路
「闇路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
闇路の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
も見ずに裸足《はだし》のまま、戸外《おもて》へ飛び出してしまった。 霧雨のする
闇路を、庸之助は一散に馳けた。 それから彼が、鯡場《にしんば》の人足となるまで....
「蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
ってしまう、ということは、きわめて有りそうなことである。それが、たださえ暗い胸の
闇路を夢のようにたどっている人間だとすれば、これはむしろ当然すぎるほど当然なこと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
宮の台なる三重の塔をめぐって駅路へ行く路、或いは動き、或いは動かず、しかしながら
闇路《やみじ》を縫うて、徐《おもむ》ろに下りて行くのは、紛《まぎ》れもない駅路へ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
が蒿じて、この節では、唐黍の毛の尻尾を下げたり、あけびを口に啣えたり、茄子提灯で
闇路を辿って、日が暮れるまでうろつきますわの。 気になるのは小石を合せて、手ん....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
初老人。 火が明々と燃えさかっている。二人が向き合ってそれにあたり出した時に、
闇路の外で人の声がありました、 「おやおや、もう一息というところで月が落ちました....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
絹に逢ってから尺八を捨てました。少しく光明を得ていた眼が、再び無明《むみょう》の
闇路《やみじ》に帰ったのも、その時からでありました。 父から尺八を教えられる時....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
十分ぐらいで到着できる熱海駅へも向わずに、ただヤミクモに風下へのがれ、延々二里の
闇路を走って、多賀まで落ちのびたのである。 彼の前方から、逆に熱海をさして馳せ....
「文づかい」より 著者:森鴎外
たつきを得ざりければ、わが身のこといかにおもいとりたまいけん。されどわれを煩悩の
闇路よりすくいいでたまいし君、心の中には片時も忘れ侍らず」 「近ごろ日本の風俗書....
「魔像」より 著者:林不忘
ていた知らずのお絃である。後をそのままに、丹波を追って急いだのだったが、中途から
闇路を転じて、神田の自宅へ立ち帰り右近とお絃はどこへ行ったのだろうと考えながら独....
「露の答」より 著者:坂口安吾
りました。 折しも五郎兵衛は踊りの師匠の娘と恋に落ち、漁色の余裕を喪失して真の
闇路を踏み迷う身となった。そのとき五郎兵衛は五十三、娘はとって十九です。娘は琴、....
「屋根裏の犯人」より 著者:坂口安吾
やります。 「東西、東西。ここもと御覧に入れまするは恋の文づかい。とつおいつ恋の
闇路は思案にくれたる若衆の思いのたけをしたためましたる手紙をくわえて恋の文づかい....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
しまうのだった。――『いや読めたわい』と、雇い人たちは推量したものである、『恋の
闇路にふみ迷い、てなところだな。おかみさん、セルゲイとてっきりアレなんだが、まあ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ざいますもの。わっしのほうがなお重い!」 「つまずくなよ」 「まッ暗だア、色情の
闇路」 「ソレ、そこに繋いである見張舟へ……」 「旦那、わっしが先へ下りますから....