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闊葉樹
「闊葉樹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
闊葉樹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
て、湿っぽい林道の両側には熊笹《くまざさ》の藪《やぶ》が高くなり、熊笹の間からは
闊葉樹《かつようじゅ》が群立して原生樹林帯はしだいに奥暗くなっていった。暗灰褐色....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
見えて、薄っすらした光が、展望塔や城壁や、それを繁り覆うているかのように見える、
闊葉樹の樹々に降り注ぎ、まるで眼前一帯が海の底のように蒼く淀んでいる。また、その....
「庭の追憶」より 著者:寺田寅彦
うとうの昔になくなっているかもしれない。 画面の左上のほうに枝の曲がりくねった
闊葉樹がある。この枝ぶりを見ていると古い記憶がはっきりとよみがえって来て、それが....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
たとえば信州へんでもある東西に走る渓流の南岸の斜面には北海道へんで見られるような
闊葉樹林がこんもり茂っているのに、対岸の日表の斜面には南国らしい針葉樹交じりの粗....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
うには一層深い霧が淀んでいそうだった。正夫は森の方にやっていった。森はその辺みな
闊葉樹で、その葉はただ濡れてるだけで、美しい露の玉はかかっていなかった。正夫はだ....
「山上湖」より 著者:豊島与志雄
る。こちらは湖中に突き出た半島で、対岸もやはり半島。半島の山には、針葉樹が多く、
闊葉樹は紅葉し、代赭色の岩肌が絶壁の中に散見される。それらが、とろりとした湖面に....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
幾分か時刻は早いのであるがここで中食した、十一時十分にヒルバを出発して山毛欅の大
闊葉樹林の中に通じている、岩魚釣りの通路を辿って行くことになる、県の事業として椎....
「案内人風景」より 著者:黒部溯郎
した。 いよいよ登高の第一日が始まる。草いきれのする裾野路。淙々たる渓流の響。
闊葉樹林。駒鳥の声。雪渓。偃松。高山植物を点綴した草野。そして辿り着いた尾根上の....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
りようをしたものだろうと思ったからである。だが、朝の山路はいい。殊に雨に洗われた
闊葉樹林の路を下るのはいい。二人はいつの間にか元気になって、ストンストンと速足で....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た散在した収穫舎、堆肥舎、衝舎、農具舎、その急勾配の角屋根を。 またうち湿った
闊葉樹、針葉樹の林を、森を、また花いろの遠い煙霞を。 ああ、目に透かすと、先ほ....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
減じて来た様に思われる。両岸も少し開けて、水辺には滴る様な青葉を枝一ぱいに翳した
闊葉樹が鬱蒼と生え続いている。岩も小さくなった。水は浅い瀬を成して淙々と流れて行....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
中禅寺の秋を代表するものは、何と言っても大崎から古薙の辺に至る間の湖畔一帯の
闊葉樹林であろう。水を隔てて南に丘陵の如く横たわる半月山や社山の連嶺も、黒木は多....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
に開けて、幾筋かに分れた細い水が赤錆びた小砂の間を蜘蛛手に流れる、こんもり繁った
闊葉樹が五、六本、河原を斜に翠蓋を拡げて、其間から雪渓の続きが白くチラチラ光る、....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
行した縦谷が骸骨の肋骨のように懸っている。山その物が既に岩の骸骨なのだ、針葉樹と
闊葉樹と入り交って生えてはいるが、其前に東鐘釣山が釣鐘を伏せたように蹲っている。....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
田川となり、末は潤川に注いでいる。水面からは霧が白く立ち昇って、掩いかかる常緑の
闊葉樹の間に消えて行く、そこからは頻に鳴く鶯の声が洩れ聞えた。 少憩して用意の....