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防壁
「防壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
防壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
にもありゃしない。内地へ帰れば、やっぱし稼がなければ、金は取れやしないよ。満洲の
防壁となってやったって、一生涯、遊ばして食わしちゃくれやしめえ。……実際居留民の....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
で高く囲まれていた。これは豪雨のときに氾濫する虞れの多い溪の水からこの温泉を守る
防壁で、片側はその壁、片側は崖の壁で、その上に人々が衣服を脱いだり一服したりする....
「石油の都バクーへ」より 著者:宮本百合子
っている。そういう風なのである。 バクー名所の一つである九世紀頃のアラビア人の
防壁を見物して、磨滅した荒い石段々を弾む足どりでイラ草の茎を片手にもって降りて来....
「五〇年代の文学とそこにある問題」より 著者:宮本百合子
立の近づきつつあることは、日本の国内情勢に微妙な反応を与えた。一方の力は、日本を
防壁として確立させるために一層積極の方法を押しすすめはじめた。それに反して、労働....
「それらの国々でも」より 著者:宮本百合子
戦のあとのヨーロッパ社会が急テムポで社会主義的に進んでゆくことに危惧を感じ、その
防壁としてドイツのナチスを支援し、成長を助けることが得策であるとした国外の人々は....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
うに語りあい、ソヴィエットの風が北部西欧へ侵入してこようとするをここで食いとめる
防壁をもってみんな自任している。そのためと明かに公言して、国民軍の制度が不必要と....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
れでもじっとしていた。崖下に女の体操の教師の姿がみえた。彼女は私をみつけた。私の
防壁頭巾は真黒で朱色のひもがついているので殊に目立つのだった。 「まあ、どうした....
「新たな世界主義」より 著者:豊島与志雄
みこんだらもう足掻きがとれないと、看做されている。そしてそのことは、外部に対する
防壁とはならず、却って、
防壁の薄弱を意味する。斯かる極東の地域は、国際外交の契約....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
気がした。すがりつくべき何物もなかった。渾沌《こんとん》を防ぎとどむべきなんらの
防壁もなかった。あらゆる武器は、彼の四方をおごそかにとり巻いていた城壁は、神も芸....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
かぎり人影もなかった。窓も扉《とびら》も皆しめ切ってあった。そして奥に立っている
防壁のために、あたかも袋町のようになっていた。
防壁は不動のまま静まり返っていた。....
「堕落論」より 著者:坂口安吾
、之は皮相の見解で、彼等の案出した武士道という武骨千万な法則は人間の弱点に対する
防壁がその最大の意味であった。 武士は仇討のために草の根を分け乞食となっても足....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
こさせる。そのうちにはオバサンを手なづけて、これを逆用して天妙大神とお衣ちやんの
防壁にしようといふ、そのためにはヨッちやんと懇ろになることも辞せないといふぐらゐ....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
二十世紀のはじめまでは、国境のまわりに立ちめぐる一万六千尺から三万尺に及ぶ山脈の
防壁を利用し、乖離《かいり》と排他主義の精神をおし樹てていた頑冥な閉鎖国で、清の....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
して、洞前に立ちふさがってでもいるような恐怖が、一同の胸をしめつけた。 「洞門に
防壁をつくって戦おう」 「広場におとし穴をいくつもいくつも、つくったらいい」 ....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
立てて、壁を防ぐの設備をしているのを見て、縛壁は席をもって壁に著くる物だといい、
防壁と書いてタツコモと訓ませた理由を、なるほどと覚えたことであった。もっともこれ....