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防波堤
「防波堤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
防波堤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「佐渡」より 著者:太宰治
る。川の岸に並び立っている倉庫は、つぎつぎに私を見送り、やがて遠のく。黒く濡れた
防波堤が現われる。その尖端に、白い燈台が立っている。もはや、河口である。これから....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
候と戦って、さびしい漁夫の生活に没頭しなければならなかった。しかも港内に築かれた
防波堤が、技師の飛んでもない計算違いから、波を防ぐ代わりに、砂をどんどん港内に流....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
果てた一面の闇を透して遠く海も時化ているらしく、此処から三|哩程南方にある廃港の
防波堤に間断なく打揚る跳波の響が、風の悲鳴にコキ混って、粉雪の積った線路の上を飛....
「栄螺」より 著者:田畑修一郎
っていたせいだろう不眠も何ともなく感じた。その日夕方まで、私は海で時間を過した。
防波堤で小さな湾がつくられ、その外へ泳いで出ると、浪はかなり高く持上って顔にぶつ....
「海底都市」より 著者:海野十三
原子力を使えばスエズ運河も一ヵ月ぐらいで出来るでしょう。また海の水をせきとめる大
防波堤《だいぼうはてい》も、らくに出来上ります。昔のエンジンの出す力を、かりに蟻....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
しぶきを立ててくるっている。しかし、その反対がわの岩のかげになっている方は、岩が
防波堤となって、静かな水面となっている。岩の裏表の海の変化は、じつにひどい。十六....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
口まで直流してくる暗褐色の洪水が、太平洋の水面より四五米の余も高く、巨大な直線の
防波堤となって、一|哩も遠く海中に突入しているのである。太平洋の荒波が、この水の....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
がった。しかし、海上は波高く、展望はきかなかった。 が、右舷のはるかに、黒々と
防波堤が見え、星のように燦めくタラント軍港の燈火――いまや、戦艦「レオナルド・ダ....
「決闘」より 著者:神西清
イの姿を認めて、黙って手を差し出した。橈子達はもう下へ降りてボートを抑えている。
防波堤で大浪は遮ってあるのだが、それでもボートは杙にぶつかっていた。フォン・コー....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
トンぐらい。大きな船ははいれない。塩竈は天然の良港で、前面には一群の松島が天然の
防波堤の役を果しているし、水深も深く、目下一万トンの船を横づけにする岸壁を工事中....
「二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
一 二月二十日の総選挙に於て、国民の多数が、ファッシズムへの反対と、ファッシズムに対する
防波堤としての岡田内閣の擁護とを主張し、更にその意志を最も印象的に無産党の進出に....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
く虫干に昔しを偲ぶ種子となる外はない。津浪の如くに押寄せる外来思想は如何なる高い
防波堤をも越して日一日も休みなく古い日本の因襲の寸を削り尺を崩して新らしい文明を....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
港口なり。同市は人口十七万を有し、この港をさること三マイルあり。港口はめぐらすに
防波堤をもってし、背面に林野を控え、地形多少の高低なきにあらざるも、概して平原な....
「妖影」より 著者:田中貢太郎
て、三つ位の男の子と、出来たばかりの女の子があった。友人は私を伴れて、すぐ近くの
防波堤の上にあった魚市場へ往った。もう夕陽に彩られた沖のほうから、勇しい櫓声がし....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。煙が吹きまく。 壮快壮快、海岸には西瓜の山だ。丘だ、煙突だ、レールだ、そして
防波堤だ、浮標だ。 波を蹴立てて、風の薄寒い港内を一まわりすると、ランチが岸へ....