防空頭巾[語句情報] » 防空頭巾

「防空頭巾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

防空頭巾の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世相」より 著者:織田作之助
硝子に庭の木の枝の影が激しく揺れ、師走の風であった。 そんな風の中を時代遅れの防空頭巾を被って訪れて来た客も、頭巾を脱げば師走の顔であった。青白い浮腫《むくみ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
したわけだ。 ◯敵の機動部隊は逃げたらしいが、戦果はどうなのか。 ◯英、一生懸命防空頭巾を縫う。盗人を捕えて縄をなうの類なり。そして造って見て、自分がかぶるのか....
壊滅の序曲」より 著者:原民喜
った。それから彼が事務室の闇《やみ》を手探りながら、ラジオに灯りを入れた頃、厚い防空頭巾《ぼうくうずきん》を被《かぶ》った清二がそわそわやって来る。「誰かいるの....
播州平野」より 著者:宮本百合子
もんぺ姿の小枝が蚊帳からにじり出て来て、さもうるさそうに頭をふり、頸のまわりから防空頭巾の紐をといた。行雄は、靴ばきで踏石の上に立ったまま、煙草に火をつけた。行....
一坪館」より 著者:海野十三
少年は元気な声で、うしろをふりかえった。箱車の上に、蒲団を何枚も重ね、その上に防空頭巾をかぶって、箱にしがみついている老婦人があった。 「ああ、入ってみておく....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
歩せねばならない破目にあった。 丁度、いよいよ戦争らしい戦争になった頃である。防空頭巾やもんぺを作った。日本は非常な勝ち戦であり、私達は、フィリピンを真赤にぬ....
白痴」より 著者:坂口安吾
たが、彼の小屋のみガラスに罅すらもはいらなかった。ただ豚小屋の前の畑に血だらけの防空頭巾が落ちてきたばかりであった。押入の中で、伊沢の目だけが光っていた。彼は見....
子どもの世界」より 著者:村山俊太郎
。 子どもたちの学校も、どうにかもとのように授業をはじめるようになった。ぶ厚い防空頭巾をかなぐりすてた、軽々した学生帽でうれしそうに登校する。十月も半ばすぎて....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
いの」 一年生がしゃくりあげた。友だちが、すぐそばで死んだらしい。 「さあさ、防空頭巾をかむって、繃帯袋を捜していらっしゃい」 久松婦長さんは、しゅうしゅう....