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防風林
「防風林〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
防風林の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
地は、広く遠く荒涼として拡《ひろ》がっていた。眼を遮《さえぎ》るものは葉を落した
防風林の細長い木立ちだけだった。ぎらぎらと瞬《またた》く無数の星は空の地《じ》を....
「逆行」より 著者:太宰治
しろの秀才は、われの立ったために、あわてふためいていた。われの背こそは、この男の
防風林になっていたのだ。ああ。その兎に似た愛らしい秀才の答案には、新進作家の名前....
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
た!」 「それからどうしました?」と岡本は真面目で促がした。 「それから北の方へ
防風林を一|区劃《くかく》、なるべくは林を多く取って置くことにしました。それから....
「親子」より 著者:有島武郎
もせずに監督の名を呼んだ。 「ここには何戸はいっているのか」 「崕地に残してある
防風林のまばらになったのは盗伐ではないか」 「鉄道と換え地をしたのはどの辺にあた....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と、そこはもう神奈川県になっている。そして、黒死館を展望する丘陵までの間は、樫の
防風林や竹林が続いていて、とにかくそこまでは、他奇のない北|相模の風物であるけれ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
山から南端の鋭い頭をした大山まで唯一目に見られる筈だが、此辺で所謂富士南に豪農の
防風林の高い杉の森があって、正に富士を隠して居る。少し杉を伐ったので、冬は白いも....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ぱい夕焼であった。笹雲が彩り多く天の高みに浮いていた。稲妻が時々閃く。桑畑も杉の
防風林も、はては遠い山脈まで耀《かがや》きにうっとり溶けこんでいた。空気は透明で....
「青田は果なし」より 著者:宮本百合子
と小さいだろう。しかも、稲田の広大な面積に比べて、数が少い。関東の農村のように、
防風林をひかえて、ぐるりに畑や田をもった農家が散財しているという風でない。一かた....
「源氏物語」より 著者:紫式部
おいでになるうちに日がたって九月になった。山おろしが烈しくなり、もう葉のない枝は
防風林でも皆なくなった。寂しさの身にしむこの季節のことであるから、空の色にも悲し....
「山の手の子」より 著者:水上滝太郎
すでに子供心を奪ってしまったので私は物欲しい心持を知らずに過ぎた。けれども海岸の
防風林にもつれない風が日に日に吹きつのり別荘町も淋しくなる八月の末には都へ帰らな....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
は常に強風が多く、田畑の畦には竹などを並べ植え、道路わきにはモクマオウを移植して
防風林とし、農作物其他への被害を防いでいる。また、宜蘭方面から基隆方面へかけては....
「自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
見ていただけば容易にお判りになることでございます通り、その風を防ぐことは、いわば
防風林の施設等でそう大した費用もかけずにできるのでありますが、万一あの風をわざわ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
地域へ出た。
見ると、麓の下り松のほうへむかって、石の鳥居がある。周囲は喬木と
防風林でかこまれていた。
「オ。……お社だ」
彼は、拝殿の前へ駈けて行くなりそ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ったように――そうして広い闇を見まわしていると、駒ヶ岳の巨大な壁を負って、一叢の
防風林に囲まれた農家から、なにか外で焚いている明りか、竈の火か、ぼうと赤い光が木....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ら長屋侍も毎日みな出払っておる。わしを留守番役の恰好でな」 なるほど、くぬぎの
防風林と石築土にかこまれたここの中には、いつもたくさんいる若党や雑人たちの影もな....