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陋屋
「陋屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陋屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鴎」より 著者:太宰治
。私は、それを真剣に読む。よくないのである。その紙に書かれてある戦地風景は、私が
陋屋《ろうおく》の机に頬杖ついて空想する風景を一歩も出ていない。新しい感動の発見....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
街路にはただ雪が光っているだけで、鎧扉《よろいど》をしめて寝しずまった、軒の低い
陋屋がしょんぼりと黒ずんで見えていた。やがて彼は、向こう側にある家がやっと見える....
「散華」より 著者:太宰治
へやって来たのは、昭和十五年の晩秋ではなかったろうか。夜、戸石君と二人で、三鷹の
陋屋に訪ねて来たのが、最初であったような気がする。戸石君に聞き合せると更にはっき....
「故郷」より 著者:太宰治
編輯部に送った。その直後の事である。れいの、北さんと中畑さんとが、そろって三鷹の
陋屋へ訪ねて来られた。そうして、故郷の母が重態だという事を言って聞かせた。五、六....
「失敗園」より 著者:太宰治
(わが
陋屋には、六坪ほどの庭があるのだ。愚妻は、ここに、秩序も無く何やらかやら一ぱい植....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
見かくること稀らしからず。さてそれらを購い来て軒近く掲ぐるに、古くさい九尺二間の
陋屋にもどこかに見らるるふしの出で来て、都の家々一時はいずれも新しくなるが嬉しい....
「酒ぎらい」より 著者:太宰治
とりで四升呑みほしたわけでは無い。おとといの晩はめずらしいお客が三人、この三鷹の
陋屋にやって来ることになっていたので、私は、その二三日まえからそわそわして落ちつ....
「穴」より 著者:黒島伝治
一人の鮮人をつれて這入って来た。阿片の臭いが鼻にプンと来た。鰌髭をはやし、不潔な
陋屋の臭いが肉体にしみこんでいる。垢に汚れた老人だ。通訳が、何か、朝鮮語で云って....
「佳日」より 著者:太宰治
の宛名は、小坂吉之助氏というのであった。翌る日、眼光鋭く、気品の高い老紳士が私の
陋屋を訪れた。 「小坂です。」 「これは。」と私は大いに驚き、「僕のほうからお伺....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
行の松に住んでいた頃の物語であるが、ある日立派な侍が沢山の進物を供に持たせ北斎の
陋屋を訪ずれた。 「主人阿部豊後守儀、先生のご高名を承わり、入念の直筆頂戴いたし....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
支那人好みの野菜の香が街に充ち充ちた煙りと共に人の嗅覚を麻痺させる。小箱のような
陋屋からは赤児の泣き声や女の喚き声や竹の棒切れで撲る音などが、巷に群れている野良....
「酒渇記」より 著者:佐藤垢石
月八日とあるのは、この碑を建てた日である、と※庭雑録に載っている。戸崎町は、私の
陋屋から遠くはない。近く小春日を選んで、祥雲寺に我ら酒徒の大先輩の墓を展し、礼を....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ている。あまりに日本化している。日本化したといえ、それは日本の乞食の住居のような
陋屋がいかにも多く見られたのである。 だが、アイヌである。人種は確かにアイヌで....
「特殊部落と寺院」より 著者:喜田貞吉
を有するのは事実である。したがって彼らは細民部落・密集部落と言われる迄にも、陋巷
陋屋に不潔の生活を営んでいながら、大抵の部落には巍然たる仏堂を有している。京都の....
「特殊部落と細民部落・密集部落」より 著者:喜田貞吉
もない事である。近ごろさらにこれを密集部落というものもある。なるほど彼らの多数は
陋屋密集の状態にいるから、これを密集部落というのもまた理由のない事ではないが、そ....