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「陋巷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陋巷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虚構の春」より 著者:太宰治
倒《きょうとう》せしめた、歴史家です。二十四歳にして新聞社長になり、株ですって、陋巷《ろうこう》に史書をあさり、ペン一本の生活もしました。小説も書いたようです。....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
ら片づいている。然し、家の方は僕が発見した時にはもう身代限りをして跡かたもなく、陋巷に窮迫しているという有様だった。而も、安蔵は病の床に伏し、妻の清子は身重だっ....
運命」より 著者:幸田露伴
軒冕の姿にあらず。 人生 道を聞くを尚ぶ、 富貴 復奚為るものぞ。 賢にして有り陋巷の楽、 聖にして有り 西山の饑。 頤を朶る 失ふところ多し、 苦節 未だ非と....
I can speak」より 著者:太宰治
あきらめの努めか。わびしさの堪えか。わかさ、かくて、日に虫食われゆき、仕合せも、陋巷の内に、見つけし、となむ。 わが歌、声を失い、しばらく東京で無為徒食して、....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
らっしゃい。早くいらっしゃってお験しなさい」 気の軽い碧眼夫婦の呼び声に、この陋巷のあちこちから腹の減った連中が駆けよって来た。屋台の前は、たちまち栄養不良患....
火葬国風景」より 著者:海野十三
しか思えない。況んや探偵小説なんてものがこんな理想郷に落ちては居まい。彼は矢張り陋巷に彷徨う三流作家であることを懐しく思い、また誇りにも感じた。そう思いつくと、....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
った。電話では足りない用を彼に託して帰京してもらうことにした。 「彼は若年にして陋巷に窮死するのが、むしろ幸福なのさ」 と、青木は放二の死を批評した。彼は元来....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
女子大学に入ろうとする昔の幼ない少女よりも、今は心に祀る主キリスト、でなければ、陋巷に沈淪してもがいている泥の中のマリヤの事を思っていたのであろう。 綾野芳正....
露の答」より 著者:坂口安吾
行き渡っておりますから、山間の小村では現在の大器の如く丁重に待遇せられる、都会の陋巷でその日の衣食に窮していた三文文士が突然仙境に踏み迷ったわけです。 加茂家....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
するにはナマの自分を利用するわけには行かないし、一途に太陽神的な高さを狙うことが陋巷にアクセクする我々の心に涼風の快味をもたらすオモムキがあるのかも知れない。と....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
はかなり常規を逸した素行があり、そのため遂に実家は破産し、彼自身は悪疾をも病んで陋巷に窮死した。しかし遺伝的といい得る程強い素質がそこに流れていると信じられない....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
したあとだったのである。 一山に寺々を構えた、その一谷を町口へ出はずれの窮路、陋巷といった細小路で、むれるような湿気のかびの一杯に臭う中に、芬と白檀の薫が立っ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
も抜け出して来たような豪傑肌だったから他にも容れられず自らも求めようともしないで陋巷に窮居し、一時は朝夕にも差支えて幼き弟妹が餓に泣くほどのドン底に落ちた。団匪....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
顔回は貧におるをもってその目的とするにあらず。しかるに、後世その道を伝うるもの、陋巷にありて道を楽しむをもって、まことに顔回の意を得たりとなすと同一なり。 ま....
特殊部落と寺院」より 著者:喜田貞吉
熱心を有するのは事実である。したがって彼らは細民部落・密集部落と言われる迄にも、陋巷陋屋に不潔の生活を営んでいながら、大抵の部落には巍然たる仏堂を有している。京....