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「降り積む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

降り積むの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛妓」より 著者:岡本かの子
は襟元から顔を見上げて行く。 永遠に人目に触れずしてかつ降り、かつ消えてはまた降り積む、あの北地の奥のしら雪のように、その白さには、その果敢なさの為めに却って....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
しの芽のような絵が描いてあった。 ――勝てば官軍、負けては賊の名をおわされて、降り積む雪を落花と蹴散《けちら》し。暗くなるまで波止場の肥料置場でここを読む。紫....
」より 著者:宮本百合子
くの地面の底にも、遠くの方に見える護国寺の森の梢にも春が感じられる、そこへ柔かく降り積む白雪で、早春のすがすがしさが冷気となってたちのぼるような景色であった。 ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
けども果てしがありそうにも思われなかった。寒気は近ごろ非常に厳しいので、氷の上に降り積む雪が御影石のように固くなっている。こんなことさえなければ、船長の足跡ぐら....
魔像」より 著者:林不忘
》りついて、聞耳を立てた。 この殺気《さっき》の場面に、恋の一こと――それは、降り積む雪に熱湯を注いだも同然で、一瞬、ほのぼのとした煙を上げて、この場の緊張《....
日記」より 著者:宮本百合子
るのである。 二月二十四日(木曜) 春の雪、寒の雪のように、しんしんと淡く密に降り積むのではない。 しとしとと柔かく、大まかに落ちて来るのだ。 どんな平ら....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ぬ、雪もかなり深いということ、先年東京から祭文語りが来て、佐倉宗吾の話をした時、降り積む雪は二尺あまりというたので、気早の若者は、馬鹿を吐け、山の中じゃああるま....
私本太平記」より 著者:吉川英治
「いやいや。なにかおれの胸のものは今、やりどころなくなっている。深々と胸にも雪が降り積むようだ……。そして白々しい虚無がおれをたまらぬ淋しい子にひがませている。....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
はそれをすすって、ああ、暖かいよ、お母さん、と言った。 目がさめてみたら、私は降り積む雪の下にすっかりうずもれていた。夜はすでにあけて、雪をすかして白い光が見....