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限って
「限って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
限っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
見えなかった。広い河岸には石垣の間に舟虫の動いているばかりだった。彼は父に今朝に
限って釣り師の見えぬ訣《わけ》を尋ねようとした。が、まだ口を開かぬうちに忽《たち....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
は恙《つつが》なく、御姫様の御手もとまでとどいたものと見えまして、珍しくも今度に
限って早速御返事がございました。これは私ども下々《しもじも》には、何とも確かな事....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
痢病のために、苦しんでいると云う事がわかった。して見れば兵衛が祥光院へ、あの日に
限って詣《もう》でなかったのも、その病のせいに違いなかった。甚太夫はこの話を聞く....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
》きの袖を引いたそうです。が、どうしたのかふだんは眼慧《めざと》い祖母が、今日に
限っていくら呼んでも返事をする気色《けしき》さえ見えません。その内に女中が不審《....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
手に、嫌々《いやいや》骨牌《かるた》をしていました。が、どういうものか、その夜に
限って、ふだんは格別|骨牌《かるた》上手でもない私が、嘘のようにどんどん勝つので....
「葱」より 著者:芥川竜之介
をうたいながら、世界のはてまでも燦《きら》びやかに続いているかと思われる。今夜に
限って天上の星の光も冷たくない。時々吹きつける埃風《ほこりかぜ》も、コオトの裾を....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ある。しかし生命は必ずしも我我の五感に感ずることの出来る条件を具《そな》えるとは
限っていない。もし火星の住民も我我の五感を超越した存在を保っているとすれば、彼等....
「或る女」より 著者:有島武郎
子は今までなんの興味をも感じなかったばかりか、働きのない没情漢《わからずや》と見
限って、口先ばかりで人間並みのあしらいをしていたのだ。しかしその晩葉子はこの少年....
「或る女」より 著者:有島武郎
、物を物ともしない姿は夏の朝の気分としっくりそぐって見えたばかりでなく、その日に
限って葉子は絵島丸の中で語り合った倉地を見いだしたように思って、その寛濶《かんか....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
そうに僕の方を見ているようでした。
僕は然《しか》し先生の眼を見るのがその日に
限ってなんだかいやでした。そんな風で一時間がたちました。なんだかみんな耳こすりで....
「星座」より 著者:有島武郎
ているくせに、どこかさぐり寄るような人なつっこいところも持っている。こういう女に
限って若い男が近づくと、どんなにしゃんとしているように見えても、変に誘惑的な隙を....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ろうか。そういう時に彼は明らかに生命から見放されてしまっているのだ。こんな瞬間に
限っていつでもきまったように私の念頭に浮かぶのは君のあの時の面影だった。自分を信....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
に心血を瀉いで得たりとしている道学者は災いである。即ち智的生活に人間活動の外囲を
限って、それを以て無上最勝の一路となす道学者は災いである。その人はいつか、本能的....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
かりかと思われる汚い空気である。私は其の午後もそんな境涯に居た。然し私は其の日に
限って其の境涯を格別気にしなかった。今日一日で仕事が打切りになると云う事も、一つ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
け……つまり念入りの祈願でございまして、これは大てい人の寝鎮まった真夜中のものと
限って居ります。そうした場合には、むろん私の方でもよく注意してきいて上げ、夜中で....