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「陣幕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陣幕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
を身に着けたばかりで、「棚の達磨」を踊った。そして宴が散じて帰る途中で、保さんは陣幕久五郎が小柳平助に負けた話を聞いた。 やすは柏軒の庶出の女である。柏軒の正....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
教えてやる、また本式の相撲になりたければ、いいところへ紹介してやるぞ、今に横綱の陣幕もここへ来るだろう」 「御免なさいまし、わしは水車番の与八でございます」 「....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
えのねえたった一つの親譲りの面なんでげすからなあ」 「ふん――ちゃちな面だなあ、陣幕や小野川の腕でぶたれたんなら知らぬこと、この尾羽《おば》打枯らした神尾の痩腕....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
皮肉に響かないで、 「全く、相撲にもあのくらいのは、たんとありません、まず横綱の陣幕と比べて、上背《うわぜい》はホンの少し足りないかも知れないが、横幅は、たしか....
武蔵野」より 著者:山田美妙
る死骸の塚が出来ていて、それにはわずかに草や土やまたは敝れて血だらけになッている陣幕などが掛かッている。そのほかはすべて雨ざらしで鳥や獣に食われるのだろう、手や....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
と! もう汝の力など借りぬ! 俺一人で送って行く! 帰れ帰れ、汝帰れ!」 力士陣幕に似ているといわれる、肥えた大きなお躰を、いつものんびりと寛がせて、子供に懐....
銀座」より 著者:永井荷風
《ぎょうさい》や芳年《よしとし》の名が轟《とどろ》き渡った。境川《さかいがわ》や陣幕《じんまく》の如き相撲《すもう》はその後《ご》には一人もない。円朝《えんちょ....
三国志」より 著者:吉川英治
ご重傷か」 「どんなご容体か」 聞き伝えた幕僚の将校たちは、曹操の抱えこまれた陣幕の内へ、どやどやと群れ寄ってきた。 「しッ……」 「静かに」 と、中の者に....
三国志」より 著者:吉川英治
用いたり、また、壁へ映る日影を記録したりする方法などもあった。 「午の刻です!」陣幕のうちへ、刻の番の兵が大声で告げると、孫策は、諸将を呼んで、 「南のほうを見....
三国志」より 著者:吉川英治
やめて、瞑目した。往事今来、さまざまな感慨が胸を往来するのであろう。 燈火は、陣幕をもる風に、パチパチと明るい丁子の花を咲かせた。 「あ……。再会の日は近い!....
三国志」より 著者:吉川英治
、囲いの中で、また二人がひそひそささやいていた。かねて注目していた蔡和と蔡仲は、陣幕の外に耳を寄せて、じっと、聞きすましていたが、さっと、夕風に陣幕の一端が払わ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
の高氏は自分の駒を降りていた。「……直義、ちょっと、こなたへ」と眼でさしまねいて陣幕の内へ入って行く。ついて行くと、二つの床几を分けあって、兄は諭すが如く弟へ言....
私本太平記」より 著者:吉川英治
家ノ子など五十余人を語らって、こんどの笠置攻めに、いちはやく参加し、木津川沿いに陣幕をむすんで功名の機会をうかがっていた者どもだが、 「どうだ、みんな」 と、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
醐の一行が昼からお泊りの由でもあるし」 寺とは名のみな、念仏道場の破れ門前に、陣幕が見える。彼は物の具も解かず、今夜はそこで床几のまま居眠りでもして過ごすつも....
黒田如水」より 著者:吉川英治
いい渡すと、更に一歩迫って、政職の前へすすみ、 「お櫓下の広庭に、お床几をすえ、陣幕も張り繞らしておきました。お旗本の、万端の固めもできています。はやそこなるご....