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陣痛
「陣痛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陣痛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
》の途《みち》なく不幸だ。不幸なものたちよ。
暁方《あけがた》の三時からゆるい
陣痛が起り出して不安が家中に拡《ひろ》がったのは今から思うと七年前の事だ。それは....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
うん、うん、うなっていたが、たまりかねたのか、豆絞の手拭をぎりぎりと噛み出した。
陣痛がはじまっていたのだ。友子の眼のふちは不気味なほど黝んでいた。豹一は、じっと....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
しくそう思って、また机の上に目を落とした。 筆はますます渋るばかりだった。軽い
陣痛のようなものは時々起こりはしたが、大切な文字は生まれ出てくれなかった。こうし....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
り日記を書く気持も起こらない。世情は滔々と移り変わりつつあり。 目下|幣原内閣
陣痛中なり。(十月九日内閣成立) それよりも気になるのは食糧事情であり、配給は....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
ああそうか、そうだったのか! それでこそあの怪しげな呻き声も、のたうつような戦慄
陣痛の苦悶であり、奇妙な風船笛のような鳴き声も、すこやかな産声であり、怪しげな濁....
「河明り」より 著者:岡本かの子
れ、彼女に堪え切れないほどの感情が、心内に相衝撃するもののように見えた。二三度、
陣痛のようにうねりの慄えが強く、彼女の指先から私の肩の肉に噛み込まれ、同時に、彼....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
はてこずりとかいうものである。 難産が習慣となっている私にとっては、たまに軽い
陣痛位で飛び出したりすると、いかにもその作品に自信が持てないのである。情けないこ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
或は手古摺りとか云うものである。 難産が習慣となっている私にとっては、偶に軽い
陣痛位いで飛び出したりすると、如何にもその作品に自信が持てないのである。情けない....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
の地位に一大飛躍を要求されているときであり、国の建てなおしをする劃期的時代を産む
陣痛状態にあるのである。このときに際して、日本の婦人はその事業を男子のみに任せて....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
つく。気がついて見れば、それでも解決がついたようなものである。「雪間の草の春」は
陣痛の苦を味って自分が生んだ胎児にちがいない。血を引いた個性がそこにあらわれてい....
「郷愁」より 著者:織田作之助
んで、すぐ眠ってしまいたかったが、女に頼むには余りにも物騒な時間である。それに、
陣痛の苦しみを味わった原稿だと思えば、片輪に出来たとはいえ、やはりわが子のように....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
うことの出来ぬ事実である。私は世間の万葉調なるものが、こうした新しい調子に出て、
陣痛期を脱しようとするのかと考えている。 尚他の「アララギ」の人々で見ると、文明....
「印象」より 著者:小酒井不木
て、その日は帰りました。すると、その翌々日の午前七時頃電話がかかりまして、夫人に
陣痛様の痛みが始まったからすぐ来て下さいという通知を受けました。分娩の時期がかく....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
は重く、しかも心は強く、世界の母性として、彼女らは万里の波濤を越え、風雨に堪え、
陣痛の苦と新生の輝かしい希望とを懐いて、永く忍び、永く忍びつつ、しかも衝き進むべ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
らず支那事変を解決し、必ずや急速に東亜の大同を実現するであろう。現下の事変はその
陣痛である。 これらの未完成の四集団は既にいわゆる民主主義陣営と枢軸陣営の二大....