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「陣笠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陣笠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
三度ずつ、すなわち暮れ六つに一回、深夜に一回、夜あけに一回。騎馬、ぶっさき羽織、陣笠《じんがさ》姿で、四人ひと組みがくつわを並べながら見まわるしきたりでした。 ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が眠ったように止まっていた。少し汗ばんでいる馬を急がせてゆく、遠乗りらしい若侍の陣笠のひさしにも、もう夏らしい光りがきらきらと光っていた。 小幡が菩提所の浄円....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に子分の幸次郎と善八をつれて、初めて小金井へ遠出を試みたと云う訳です。武家ならば陣笠でもかぶって、馬上の遠乗りというところですが、われわれ町人はそうは行かない。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
近ではなかなか警戒の手をゆるめない。嘉吉は裏座敷から表側の廊下の方へ見に行った。陣笠をかぶって両刀を腰にした番兵の先には、弓張提灯を手にした二人の人足と、太鼓を....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
済んだ三日目になって見ると、馬籠の宿場では大水の引いて行ったあとのようになった。陣笠をかぶった因州の家中の付き添いで、野尻宿の方から来た一つの首桶がそこへ着いた....
怪僧」より 著者:田中貢太郎
だ穢い処で、お気の毒でございます」 こう云って僧が出て往くと、飯田は刀を除り、陣笠を脱いで、だんぶくろを穿いた体を畳の上に置いた。部下は炊事にかかったのかあが....
三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
らのう」 と、いった時 「退け退け」 と、いう声がして、供を先に、後に、裏金陣笠の侍が、草の中から胸を出して、近づいてきた。 六 (埓《らち》も無い....
創生記」より 著者:太宰治
たような老いぼれ、清水不住魚、と絹地にしたため、あわれこの潔癖、ばんざいだのうと陣笠、むやみ矢鱈に手を握り合って、うろつき歩き、ついには相抱いて、涙さえ浮べ、ば....
海神に祈る」より 著者:田中貢太郎
寺の名で呼ばれていた。 権兵衛は役所の近くまで往った。其処に二疋の馬がいて傍に陣笠を冠った旅装束の武士が二人立ち、それと並んで権兵衛の下僚の者が二三人いた。権....
自由人」より 著者:豊島与志雄
離合集散、醜態の極みではありませんか。あれでは、何も出来はしません。一体に、所謂陣笠連が多すぎるんです、それというのも、何々党の公認候補ということになれば、当選....
近藤勇と科学」より 著者:直木三十五
。隊士一同、悉く、小十人格という事になった。 岩田金千代も、鈴木竜作も、裏金の陣笠《じんがさ》をもらって、新らしく入ってきた隊土に、戦争の経験談を話した。 「....
」より 著者:岡本綺堂
出先だ。逢ってはいられない。又次郎、おまえが逢ってやれ。」 言いすてて弥太郎は陣笠をかぶって、すたすたと表へ出かかると、大きい椿のかげから四十五、六の小作りの....
水面に浮んだ女」より 著者:田中貢太郎
が危険になって来た。半鐘の音はその暴風雨の中にきれぎれに響いた。郡奉行の平兵衛は陣笠陣羽織姿で川縁へ出張して、人夫を指揮して堤防の処どころへ沙俵を積み木杭を打ち....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
るのである。それもコードがダラリと垂れ過ぎた。立ってひと結びくくりあげると、白い陣笠形の上の埃が両手にくっつく。 ところで豪傑笑いの友人はまだ帰って見えない。....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
毛が長寿不老というような語を思わせる。明治十二三年頃買って其の儘用い来ったという陣笠のような猟帽を頭へ戴いて、黒い古紐が面のような顔をキリリと結んでいる。彼の歩....