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陣鉦
「陣鉦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陣鉦の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の方へ響いて行く。その町では今も尚、人間狩りが行われている。 しかし、やがて、
陣鉦の音が、富士の山骨から鳴り渡り、それがすっかり止んだ時、人間狩りも終りを告げ....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
は、蓋し江戸ッ児の独占するところか。 上げ汐の真近時になると、いずれの船からも
陣鉦、法螺の貝などを鳴らし立てて、互いにその友伴れをあつめ、帰りは櫓拍子に合わせ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
配って置いた小西、宇喜多の先鋒とが、今し戦端を開いたところであります。 両陣で
陣鉦《じんかね》、陣太鼓が鳴る――バラバラと現われた両軍の先頭、いずれも真黒な裸....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
さん、あれが長浜の町ですか」 「そうです」 「篝火が盛んに燃えていますね、あれ、
陣鉦《じんがね》、陣太鼓の音も聞えるではありませんか」 「さあ、お前、あれにつれ....
「武蔵野」より 著者:山田美妙
、目の奥に止まるほどに眤しい顔をば「さようならば」の一言で聞き捨て、見捨て、さて
陣鉦や太鼓に急き立てられて修羅の街へ出かければ、山奥の青苔が褥となッたり、河岸の....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
祝の儀式がすむと、引きぬきになって大兜《おおかぶと》。お手のものの三味線、太鼓、
陣鉦を持ちだし、これに波音まで入って無闇な騒ぎになる。 七ツ近くに小屋師の勘八....
「三国志」より 著者:吉川英治
の兵をうながす檄文を起草し、都下出発の朝、勢揃いと称して、曹操の閲兵を乞い、急に
陣鉦を鳴らすを合図に、曹操を刺し殺してしまおうと、すべての手筈まで諜し合わせた。....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
合していた兵もうごき出している。手勢は、山本九郎時綱のひきいる約千人。――陣貝、
陣鉦などはもとより持たない。 すでに、洛中諸所の篝屋とは、しめし合せもあったと....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
死に神につかれているのだ。望みのままここを奴らの墓場にしてやる」 鼓を鳴らし、
陣鉦をたたき、数千のかぶと虫が、東国|訛りの将に叱咤されては、赤坂の丘の下へ向っ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
勢は、万に近い数だった。そのうしろで、押し太鼓のバチは狂気のような乱打をつづけ、
陣鉦は山をふるわせた。春|闌けてから、山にも雨が少なく、苔や下草まで乾いていたが....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
に立て。大伍や綱丸もつづいて来い」 と、自分を中心に円を作って駈け出していた。
陣鉦の乱打が地をつつむ。 高氏も直義の影も、はじめて、戦ぼこりの中に薄れ込んだ....