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除夜の鐘
「除夜の鐘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
除夜の鐘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
めに奔走しているのでその夜は年越しに来《こ》ないと下宿から知らせて来た。妹たちは
除夜の鐘を聞くまでは寝ないなどといっていたがいつのまにかねむくなったと見えて、あ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
りは、科学技術の普及と科学小説の振興に最後の努力を払わん。 ◯ラジオにて寛永寺の
除夜の鐘の音を聞く。平和来。昨年は「敵機なお頭上に来りて年明くる」と一句したりけ....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
らし合うこの怪しげな行事は、名づけて新手村の悪口祭りといい、宵の頃よりはじめて、
除夜の鐘の鳴りそめる時まで、奇声悪声の絶え間がない。 ある年の晦日には、千曲川....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
すっかり行き窮ってしまった結婚生活を清算して子供にも別れたのは、その年の大晦日の
除夜の鐘の鳴り出した時であった。彼女は子供たちを風呂へ入れてから旅の支度をさせた....
「爛」より 著者:徳田秋声
たしまして。私はどうだっていいんです。」 お増は横を向いて、莨をふかしていた。
除夜の鐘が、ひっそり静まった夜の湿っぽい空気に伝わって来た。やがて友達の引き揚げ....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
おろか、わが家には現金一文も無いのをいまさらの如く思い知って内心ぞっとして、早く
除夜の鐘が、と待つ間ほどなく、ごうん、と
除夜の鐘、万金の重みで鳴り響き、思わずに....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
嬉しからぬということなく、アイと素直に福茶を運び来て、「ねえお前さん、今夜こそは
除夜の鐘を聞こうじゃありませんか。百八つでしたね」と睦まじいものなり。 こうし....
「正月とソヴェト勤労婦人」より 著者:宮本百合子
と正月を迎えた時、どんなにやるのかと思って楽しみにした。ところが勿論日本みたいに
除夜の鐘が鳴るわけじゃなし、門松立てるわけじゃなし、元旦に下宿の神さんが「おめで....
「山峡新春」より 著者:宮本百合子
夜の空があり、黒が温泉場らしく和んだ大気に燦いているのが雨戸越しにも感じられる。
除夜の鐘も鳴らない大晦日の晩が、ひっそりと正月に辷り込んだ。 三ガ日の繁忙をさ....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
字で面白く写生している。 (2) 炭どんかえして餅やく子らの時雨宿 あふひ
除夜の鐘襷かけたる背後より 静廼 三味ひくや秋夜の壁によりかかり みどり....
「魔都」より 著者:久生十蘭
かけ、時計を眺めてはしきりに心を焦立たせるふうである。この時こうこうと鳴りだした
除夜の鐘。少し古風な情景になったが、コルビジェ風の新式アパートにも鐘の音は届く。....
「日記」より 著者:宮本百合子
たものはくずされないのが本当にうれしい。 三人かえって来てからカルタをし、夜、
除夜の鐘をきき、ひとりでに一座がしんとした。今年は、始めて自分等の家で、楽しい気....
「健康三題」より 著者:岡本かの子
眼に映るけれども、私はそれどころでなく書きに書いて心積りした通り首尾よく大晦日の
除夜の鐘の鳴り止まぬうちに書き上げた。さて楽しみにした初湯にと手拭を下げて浴室へ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
パチと手を拍いた。キャラコさんも、やんちゃなお嬢さんたちも、みな、涙ぐんでいた。
除夜の鐘が鳴り出した。新しい年が来た。....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
まだ
除夜の鐘には、すこし間がある。 とまれ、ことしも大晦日まで無事に暮れた。だが、....