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陥
「陥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
ている。わたしたちのうちにいるわたしたちの祖先に従わなければ、わたしたちは不幸に
陥《おちい》らなければならぬ。「過去の業《ごう》」という言葉はこういう不幸を比喩....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
れほど、自分は、沙金を憎んでいる。が、あの女の目を見ると、自分はやっぱり、誘惑に
陥ってしまう。あの女のように、醜い魂と、美しい肉身とを持った人間は、ほかにいない....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
》の光景を再び私の眼の前へ展開してくれたのでございます。長良川《ながらがわ》鉄橋
陥落の図、尾張《おわり》紡績会社破壊の図、第三師団兵士|屍体発掘《したいはっくつ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
黙坐《もくざ》したり。夫人は三分二十五秒の後《のち》、きわめて急劇なる夢遊状態に
陥り、かつ詩人トック君の心霊の憑依《ひょうい》するところとなれり。我ら会員は年齢....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
波旬《てんまはじゅん》とでも云うが好《い》い。)己の意志を誘《さそ》って、邪道へ
陥れたとでも解釈するよりほかはない。とにかく、己は執念深く、何度も同じ事を繰返し....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
奪われ、右往左往《うおうさおう》に逃げ惑《まど》った。京城《けいじょう》はすでに
陥った。平壌《へいじょう》も今は王土ではない。宣祖王《せんそおう》はやっと義州《....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
達雄はたいていピアノの前へ坐らないことはないのですが。
主筆 そのうちに恋愛に
陥るのですか?
保吉 いや、容易に
陥らないのです。しかしある二月の晩、達雄は急....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
うふん》には、妙に人を追窮するような所があって、それが結局自分を飛んでもない所へ
陥れそうな予感が、この時ぼんやりながらしたからである。そこで本間さんは思い出した....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
のは滅多に実相を見るものではない。いや、我我の自己|欺瞞《ぎまん》は一たび恋愛に
陥ったが最後、最も完全に行われるのである。
アントニイもそう云う例に洩《も》れ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
すれば、「主」の意に悖《もと》る事になる。嘗《かつて》は、林右衛門も、この苦境に
陥っていた。が、彼には「家」のために「主」を捨てる勇気がある。と云うよりは、むし....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
脚になったことを信じていない。のみならず常子の馬の脚を見たのも幻覚《げんかく》に
陥ったことと信じている。わたしは北京《ペキン》滞在中、山井博士や牟多口氏に会い、....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
世紀の初期に当って、ファディラの率いるアラビアの騎兵が、エルヴァンの市《まち》を
陥れた時に、その陣中に現れて、Allah akubar(神は大いなるかな)の祈祷....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
時に又|現世を地獄にする或意志の一例にも違いなかった。しかし、――僕は又苦しみに
陥るのを恐れ、丁度珈琲の来たのを幸い、「メリメエの書簡集」を読みはじめた、彼はこ....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
思い出したように時時句作を試みている。が、一度句作に遠ざかった祟りには忽ち苦吟に
陥ってしまう。どうも蛇笏君などから鞭撻を感じた往年の感激は返らないらしい。所詮下....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
のために科学の応用を教うる所」としてある。 しかし、その翌年には既に財政困難に
陥って維持がむずかしくなった。幸いにデビーが教授になったので、評判が良くなり、こ....