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陥る
「陥る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陥るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
達雄はたいていピアノの前へ坐らないことはないのですが。
主筆 そのうちに恋愛に
陥るのですか?
保吉 いや、容易に陥らないのです。しかしある二月の晩、達雄は急....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
彼女を愛する為に往々彼女の外の女人を彼女の身代りにするものである。こう言う羽目に
陥るのは必《かならず》しも彼女の我我を却《しりぞ》けた場合に限る訣《わけ》ではな....
「或る女」より 著者:有島武郎
しもなくかみしめた。そして追想は多くの迷路をたどりぬいた末に、不思議な仮睡状態に
陥る前まで進んで来た。葉子はソファを牝鹿《めじか》のように立ち上がって、過去と未....
「星座」より 著者:有島武郎
った。五十二というのに、その人は六十以上に老い耄《ぼ》けていた。これほどの貧乏に
陥るのももとはといえば何んといっても父の不精から起ったことだと、苦しいにつけ、辛....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
と活動とを抑制せらるる時である。人性本然の向上的意力が、かくのごとき休止の状態に
陥ることいよいよ深くいよいよ動かすべからずなった時、人はこの社会を称して文明の域....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
をあてどもなく匍匐する。その姿は既に十分|憐れまれるに足る。嬰児は屡※過って火に
陥る、若しくは水に溺れる。そして僅かにそこから這い出ると、べそをかきながら又匍匐....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は二日間それを抱いてあたためた後、イルマタールが動いたために卵は落ちて深海の底に
陥る。 しかし卵は海の 水で砕けなかった、 それは、これから天が 地が生れて出た....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
式の防禦をしている敵を攻撃するに各兵、各部隊の自由にまかせて置いては大きな混乱に
陥るから、指揮官の明確な統制が必要となりました。面式防禦をするのには、一貫した方....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
たのだから、今でもおとよをかわいそうと思わないことはないけれど、ちょっと片意地に
陥るとわが子も何もなくなる、それで通常は決して無情酷薄な父ではないのである。 ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
角が分らんのです。もっとも線路の見当は大概に着いてたけれども、踏処が悪いと水田へ
陥る。 果して遣った! 意地にも立ったきりじゃ居られなくなって、ままよ、と胆を....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
しめた教育期間で、爾来、私はいかに懐疑的空想に耽ることがあっても、心からの疑惑に
陥るようなことがなくなった……。 『此等の通信の現れた形式などは、深く論ずるにも....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
時に又|現世を地獄にする或意志の一例にも違いなかった。しかし、――僕は又苦しみに
陥るのを恐れ、丁度珈琲の来たのを幸い、「メリメエの書簡集」を読みはじめた、彼はこ....
「迷信解」より 著者:井上円了
らず。およそ人は知識をみがき、道理を究め、これによりて事をなすべく、決して迷信に
陥るべからず。疾病にかかりしとき、医薬によらずして加持祈祷、神水等に依頼するがご....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
き、まだこれを感づいた人々の無いのが不思議なくらいだ。僕がもともとよく放心状態に
陥るくせがあるものだから、人々はやはりそれだと思い込むのだろう。人が低声で話して....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ずとせば日本は破産の外なく、またもし勝利を得たりとするも戦後立つべからざる苦境に
陥るべし。 3 露国の崩壊は天与の好機なり。 日本は目下の状態に於ては世界を....