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「陰り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陰りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ょうぶく》を巧らむ、人のこころが怖ろしいと申したのでござりまする。この身になんの陰りもない玉藻が、なんでお身たちの祈祷を恐れましょうぞ」 その恐れげのない証拠....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
出た。それは喜平らが最後の探検から一と月あまりを過ぎた頃で、十月ももう末に近い薄陰りの日であった。 「なんだか時雨《しぐ》れて来そうだな」と、半七は低い大空を見....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
上げ婆さんの所は四、五町もはなれているので、お倉はむやみに急いで行った。今夜も霜陰りという空であったが、両側の灯はうす明るい影を狭い町に投げていた。すぐに来てく....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れから五日の後である。この頃は朝夕が肌寒くなって、きょうも秋時雨と云いそうな薄|陰りの日の八ツ半(午後三時)頃に、ふたりの男が富士裏の田圃路をさまよっていた。半....
花吹雪」より 著者:太宰治
は全集の日記の巻を調べてみた。やっぱり在った。 明治四十二年、二月二日(火)。陰りて風なく、寒からず。(中略)夕に赤坂の八百勘に往く。所謂北斗会とて陸軍省に出....
牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
矧んやこの清平の世、坦蕩の時においておや。而るに形躯を変幻し、草木に依附し、天|陰り雨|湿うの夜、月落ち参横たわるの晨、梁に嘯いて声あり。その室を窺えども睹るこ....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
役所へ勤めていた。吉之助はとどこおりなく学校にかよっていた。この年の五月はとかく陰り勝ちで、新暦と旧暦を取り違えたのではないかと思われるような五月雨めいた日が幾....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
雨時のような天気|工合である。 夕がたに少し晴間が見えるかと思うと、夜分はまた陰り、明がたには雨がさっと通りすぎる。そして朝からどんよりしていた空が午後はいよ....
有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
役所へ勤めていた。吉之助はとどこおりなく学校にかよっていた。この年の五月はとかく陰り勝ちで、新暦と旧暦を取り違えたのではないかと思われるような五月雨めいた日が幾....
慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
別れ、田島さんは予の宿に来たりて新聞の原稿を書く。きょうは坐っていても汗が出る。陰りて蒸し暑く、当夏に入りて第一の暑気かも知れず。田島さんは忙がしそうに原稿を書....
馬妖記」より 著者:岡本綺堂
た。 三月もなかば過ぎて、ここらの春は暖かであった。あたかもきょうは午後から薄陰りして、おそい桜が風のない夕にほろほろ散っていた。 「今夜はきっと出るぜ。」 ....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
て給仕いたせ」と、播磨は笑ましげにいった。 機嫌の好い、いつものように美しい、陰りのない男の顔を見て、お菊は悲しいほどに嬉しかった。たとい疎匆にもせよ、家の宝....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
世や 絵を見れば絵も薄墨や秋の花 十二日、青山墓地にて埋葬のこと終る。この日は陰りて雨を催せり。 青山や花に樒に露時雨 十五日は初七日、原田春鈴君来りて、そ....
西航日録」より 著者:井上円了
んタイガーヒルまでも、雲煙の中にうずめらるるに至れり。少時を過ぎてまたはれ、また陰り、出没変幻窮まりなく、その妙、実に言うべからざる趣あり。帰路紅葉を採集し、チ....
牡丹灯籠 牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
。矧んや此の清平の世|坦蕩のときにおいてをや。而るに形躯を変幻し、草に依附し、天陰り雨|湿うの夜、月落ち参横たわるの晨、梁に嘯いて声あり。其の室を窺えども睹るこ....