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陰る
「陰る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陰るの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
秋が来た。 きょうは盂蘭盆の十三日で、昼の暑さはまだ水売りの声に残っているが、
陰るともなしに薄い日影が山の手の古びた屋敷町を灰色に沈ませて、辻番《つじばん》の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
く突き留めるのが近道らしい。こう思案して、半七はまっすぐに小梅へゆくことにした。
陰るかと思った空は又うす明るくなって、厩橋の渡しを越えるころには濁った大川の水も....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
婦の跡を追って押上の方へ駈出しました。此方は幸兵衞夫婦丁度霜月九日の晩で、宵から
陰る雪催しに、正北風の強い請地の堤を、男は山岡頭巾をかぶり、女はお高祖頭巾に顔を....
「悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
陽が
陰るように、胸に憂欝の気が立ち罩める時がある。はっきりした原因があるのではない。....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
守っていた。漠然とした不安の予感が心のうちに萠した。何かしら忌わしいものが、日が
陰るように胸の中をスーッと通りすぎた。その中に奥様でしょうと云った女中の言葉がふ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
が聞えた。長門領の山からひろがった白雲が、ちょうど中天の太陽を時折かすめて、陽が
陰ると、全島の樹々や篠のそよぎが、暗くなった。――と思うと、一瞬にまた、くわっと....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
ので、皆なの顔をきょときょとと見廻わしているばかりでした。 その日の夕方、日の
陰る頃を見計って朝太郎の吉松殿は、牡丹に丸の定紋のついた、立派な駕籠に乗せられて....