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陰性
「陰性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陰性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
を見せた事のないその父らしい声だった。Kはちょっと反抗するような顔つきをしたが、
陰性なその表情をますます
陰性にしただけで、きぱきぱと盾をつく様子もなく、父の心と....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
て絶対的でなくなる――比較的価値が低くなるに従って戦争は細く長く、女性的に、即ち
陰性の戦争になるのであります。これを持久戦争と言います。 戦争本来の真面目は決....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
心の感想を話す時のてれ隠しに、わざと昂然とした態度を採る。その癖で今日も彼独得の
陰性を帯びた背の反らし方をして、右手を絶えずやけに振り廻していた。 「虚無でなけ....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
相撲でもとり始めたらしいどたんばたんばかりが別ものとなって耳の底にひびいて来た。
陰性を帯びたはしゃぎ方だ。上へ上へとはしゃぎ出そうとする氏の都会的な陽性を、どう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れるものと信ずるならん――かもしれませんよ」と法水が爆笑を揚げたので、それまで、
陰性のものがあるように思われて、妙に緊迫していた空気が、偶然そこで解れてしまった....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ていた。忽然起こる不思議な笑い! はっなる。 陶器師は大上段。フフフフフフ、と
陰性の中音、絶えず笑いを響かせながら、分を盗み寸を奪い、ジリジリと爪先で寄って来....
「蜘蛛」より 著者:甲賀三郎
潮見博士をよほど快よくおもっていなかったふうがあった。もっとも辻川博士はあくまで
陰性で、面とむかって不快の状をあらわすようなことはなかったようだ。 こんなこと....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
けるようになった。苦心談、立志談は、往々にして、その反対の意味の、自己|吹聴と、
陰性の自讃、卑下高慢になるのに気附いたのである。談中――主なるものは、茸で、渠が....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
にすこぶる執拗であって、かつ用心深かった。そうして性質からいう時は、この上もなく
陰性で、黒幕的性質にできていた。もし美作が望んだならば、五万石以上の大名ともなれ....
「恐ろしき贈物」より 著者:小酒井不木
或は犯人はその附近に住むものであるかもしれぬという考のもとに捜索を行っても結果は
陰性であった。 犯罪事件が迷宮に入ると警察は沢山の匿名の手紙を受取るのが常であ....
「春」より 著者:岡本かの子
で無遠慮に女の近くまで行ってしまった。そして女の妙なたたずまいから発散する一種の
陰性な気配に打たれた。だが学生は直ぐに単純な明朗らしい気持に帰って、京子をこの家....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
わす事なく、快晴なる昼間には多くは隠れて、陰雨の際或いは夜間にのみ出てあるく様な
陰性の動物を以て、かかる場合の比喩形容に使用すべしとはいかにしても不適当と謂わね....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
くり上げて仕舞った。「生きたい、たとえいっときでも今一度丈夫になりたい」そうして
陰性な母よりも、貧乏で利己主義な父よりも、無性格のように弱い姉よりもずっと頼母し....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
え醸したらしい慶四郎の病気を、いくら名ざして来たとて妹の自分に任せようとする姉の
陰性も嫌いだった。 姉は、薄皮の瓜実顔に眉が濃く迫っている美人で、涙っぽい膨れ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
値が他の手段に対し絶対的地位を失い、逐次低下するに従い戦争は活気を失い、女性的、
陰性となり、通常長期戦争となる。これを持久戦争と命名する。 戦争本来の真面目は....