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陰森
「陰森〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陰森の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
《しょうじ》一重《ひとえ》隔てた向うには、さもただならない秘密が潜んでいそうな、
陰森《いんしん》としたけはいがあったと云います。
が、泰さんは一向無頓着に、そ....
「源おじ」より 著者:国木田独歩
ば一間のうちにわかに明《あか》くなりつ、人らしきもの見えず、しばししてまた暗し。
陰森《いんしん》の気|床下《ゆかした》より起こりて翁が懐に入りぬ。手早く豆洋燈《....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
遠ざかって行った。 不安の一日が暮れた時、恐怖の夜が襲って来た。 夜の城下は
陰森と寂れ、人っ子一人通ろうともしない。 深夜|三更の鐘が鳴った。 その時、....
「運命」より 著者:幸田露伴
、張玉、朱能等の猛将|梟雄、眼底紫電|閃いて、雷火発せんとす。燕府を挙って殺気|
陰森たるに際し、天も亦応ぜるか、時|抑至れるか、※然として地に堕ちて粉砕したり。....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
苦行を思う。順礼を思う。凝りたる雪の上を踏む素足のままの日参を思う。丑の時参りの
陰森なる灯の色を思う。さてはあの釣鐘にとぐろを捲きたる蛇の執着を思わずにはいられ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ので、士太夫の邸と云ったところでこれまでであろうと思われた。それにも拘らず邸内が
陰森として物寂しく、間ごとに点された燭台の灯も薄茫然と輪を描き、光の届かぬ隅々に....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
で拭い眼にも止まらぬ早業で手術の手筈を付けて行く。 もうこの時には彼の心には、
陰森と寂しい部屋の態も、痩せた覆面の老人の姿も、確かに人間ではあるけれど人間なら....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
した。 しかるにこの頃北山の方から、異形の人数が五人揃って、京都の町の方角へ、
陰森とした山路を伝いストストストストと下っていた。 24 一人は上品な老女であ....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
い」 庭下駄を突っかけて歩いて行った。 15 変った建物では無かったけれど、
陰森たる建物には相違なく、縁が四方を取り巻いてい、雨戸がビッシリと閉ざされていた....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
と見下ろした侍は、 「これ、其方達は駈落だな」 こう云いながらジリリと寄った。
陰森たる声であった。一味の殺気が籠もっていた。 「は、はい、深い事情があって」 ....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
もっともに存じます」 利休は始めて胸に落ちたのである。 大阪市外阿倍野の夜は
陰森として寂しかった。と、数点の松火の火が、南から北へ通って行く。同勢百人足らず....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
の岸を指して船を漕いだ。土人達はほとんど間断なく空砲を空に向けて撃っている。その
陰森たる大砲の音は人跡未踏の神秘境のあらゆる物に反響して木精となって返って来る。....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
けにしてしまった。 陣十郎という男の身の周囲を、殺気といおうか妖気といおうか、
陰森としたものが取り巻いていて近寄るものを萎縮させる。 ――そんなように一瞬思....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
しかし向かい合って立っている浪人にとって苦痛なのは、その武士全体から逼って来る、
陰森とした圧力で、それが浪人の心持ちを、理由なしに圧迫するのであった。頭巾に包ま....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。
湯気のようなものが立つ。己の頭の周囲に
稲妻のように赤い※が閃く。円天井から
陰森の気が吹き卸して来て、
己の身を襲う。
己は感じる。お前、身の辺に漂っている....