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陰気
「陰気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陰気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
のいる停車場にも、もう二三人、人が立った。それが皆、眠《ね》の足りなそうな顔を、
陰気らしく片づけている。寒い。――そこへ割引の電車が来た。
こみ合っている中を....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ん》に行った家族のものは、まだ帰って来ない。うちの中は森《しん》としている。彼は
陰気な顔を片づけて、水滸伝を前にしながら、うまくもない煙草を吸った。そうしてその....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
観音《ようりゅうかんのん》を偸《ぬす》み見ながら、やはり抑揚《よくよう》に乏しい
陰気な調子で、とぎれ勝ちにこう話し始めた。
――――――――――....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
らその上に載っている父親の遺愛の松の盆栽――すべてがある古い新しさを感じさせる、
陰気なくらいけばけばしい、もう一つ形容すれば、どこか調子の狂った楽器の音《ね》を....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
た。お蓮は呆気《あっけ》にとられたなり、しばらくはただ外光に背《そむ》いた、この
陰気な女の姿を見つめているよりほかはなかった。
「いかがでございましょう? 置い....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
ません。」
私は椅子《いす》に腰かけてから、うす暗い石油ランプの光に照された、
陰気な部屋の中を見廻しました。
ミスラ君の部屋は質素な西洋間で、まん中にテエブ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
院はとうに出ている筈だ。事によると今にも店さきへ、――
「どうです?」
洋一は
陰気な想像から、父の声と一しょに解放された。見ると襖《ふすま》の明いた所に、心配....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
ない神経の緊張を、感じさせるようになった。
修理《しゅり》は、止むを得ず、毎日
陰気な顔をして、じっと居間にいすくまっていた。何をどうするのも苦しい。出来る事な....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
んやりして二時間あまりも待ち暮した。聞くに堪えないような若者どもの馬鹿話も自然と
陰気な気分に押えつけられて、動《やや》ともすると、沈黙と欠伸《あくび》が拡がった....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
っての、岡沙魚というものが根の処で跳ねるわや、漕いで入る船の艪櫂の音も、水の底に
陰気に聞えて、寂しくなるがの。その時稲が実るでござって、お日和じゃ、今年は、作も....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
どうじゃ、この湖水の景色は……汝は些と気に入らんであろうが……。』 『私はこんな
陰気くさい所は厭でございます。でもここは何ぞ縁由 のある所でございますか?』 『....
「初雪」より 著者:秋田滋
いた古めかしい家を見ると、彼女は笑いながら、思わずこう叫んでしまった。 「まあ、
陰気ッたらないのね!」 すると、こんどは良人が笑いだして、こう云った。 「馬鹿....
「寡婦」より 著者:秋田滋
バヌヴィルの館で狩猟が催されていた、その間のことである。その秋は雨が多くて
陰気だった。赧い落葉は、踏む足のしたでカサとの音もたてず、降りつづく陰欝な霖雨に....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
のあたりで、葬式の行列が見えたとか、哀悼の叫びや、すすり泣きの声が聞えたとかいう
陰気な話がいろいろ出た。じっさい、その大木はこの近所にあるのだ。白衣に身をつつん....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
が散じたような心持になった。 夫が出てしまうと、奥さんは戸じまりをして、徐かに
陰気らしく、指の節をこちこちと鳴らしながら、部屋へ帰った。 * ....