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陰翳
「陰翳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陰翳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
、参差《しんし》、任放、錯雑のありさまとなし、雲を劈《つんざ》く光線と雲より放つ
陰翳とが彼方此方に交叉して、不羈奔逸の気がいずこともなく空中に微動している。林と....
「蒼穹」より 著者:梶井基次郎
動かないでいる巨《おお》きな雲があった。その雲はその地球に面した側に藤紫色をした
陰翳《いんえい》を持っていた。そしてその尨大《ぼうだい》な容積やその藤紫色をした....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
どう考えても信じられない不思議であった。いかに神のようなお師匠さまの眼にも何かの
陰翳《くもり》が懸かっているのではあるまいかと、彼も一度は疑った。 しかし、だ....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
山々、皆雪白、地蔵鳳凰の兀立《こつりつ》、殊に興趣あり、また雪ある山々の、相互の
陰翳、頗る面白く候、東の方の山々の中、夕日の加減にて、或山のみ常は凡々たるが、真....
「顔の美について」より 著者:伊丹万作
般の美意識は二重まぶたを好むようであるが、あまりはつきりした二重まぶたは精神的な
陰翳が感じられなく甘いばかりで無味乾燥なものである。東洋的な深みや味は一重まぶた....
「河明り」より 著者:岡本かの子
りがあろう。私が書いている物語の娘に附与したい性格を囁いて呉れそうな一光閃も、一
陰翳もこの河面からは射して来ない。却ってだんだん川にも陸の上と同じような事務生活....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
に鮮かなものである。一見極めて矛盾した様な性格らしく、それだけに政治家としては、
陰翳が多い訳だ。 だから誇張されれば、いくらでも悪人になり得る。直木三十五は「....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
花の匂いが官能を刺戟して、うっとりと気が遠くなる、空は濃碧に澄んで、塵っ葉一つの
陰翳もなく、虻が耳もとで、ブンブン唸る。 嘉門次はふと草原を切り靡けたような、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
冊の舌は、この時|朦朧として、滑稽が理に落ちて、寂しくなったし、鶏頭の赤さもやや
陰翳ったが、日はまだ冷くも寒くもない。娘の客は女房と親しさを増したのである。 「....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
のように、舞台へ出ようかな。」と云うと、圭子は、 「駄目! 貴女のような精神的な
陰翳のない人は駄目!」 「へえ。」と、唇をそらした美和子の表情の方が、姉よりは、....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
勃発の十数年前に当る頃におけるイギリス及びフランス両国の政治的及び社会的状態を、
陰翳の多い筆で一抹的に描いて、この物語の発端の背景としている。純然たる序言的な章....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
これはいったいどうしたものでしょう? なるほど、新劇畑にも、ややどっしりした、
陰翳のある、聴いていてそう倦きの来ない声をもった男女優が二、三います。が、その他....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
嫌っている様にも見える。日本語が平俗だと考えている以上に、外国語の持っている様な
陰翳を自在に浮べる事の出来ないのを悪んでいるのであろう。だから何のための詩語か。....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
機体を停止さすと、池内操縦士は腰のバンドを解き乍ら、急に痩せたようにさえ見える、
陰翳の濃く漂った三枝の横顔に言った。と、その時だった。客室へ出る小さな扉が、邪慳....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
御身よ。胸を披く神、情深き神、静かに
見えている神、力強く優しい神よ。
御身の
陰翳の物凄い※を開いてくれられい。
昔ながらの威力が不思議を待たずに見たい。
....