険しい[語句情報] » 険しい

「険しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

険しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
あげて、日ざしにも恐れず、歩いてゆく。――それを見送った侍は、汗のにじんだ額に、険しい色を動かしながら、もう一度、柳の根につばを吐くと、それからおもむろに、くび....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
師町を描いていた。それからその漁師町に住まなければならぬお芳親子も。――彼は急に険しい顔をし、いつかさしはじめた日の光の中にもう一度リイプクネヒトを読みはじめた。....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
てこの間は、羽織を一つ拵えたじゃありませんか?」 姉は父の方へ向き直ると、突然険しい目つきを見せた。 「あの時はお前も簪《かんざし》だの櫛《くし》だの買って貰....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
云う事には得心出来ても、お敏の安否を気使う心に変りのある筈はありませんから、まだ険しい表情を眉の間に残したまま、「それにしても君、お敏の体に間違いのあるような事....
或る女」より 著者:有島武郎
いていた。葉子は正面に向き直るとともに、その男のひとみの下で、悒鬱《ゆううつ》な険しい色を引きしめた口のあたりにみなぎらした。木部はそれを見て自分の態度を後悔す....
或る女」より 著者:有島武郎
地に響くようだった。倉地はともすると敵の間諜《かんちょう》ではないかと疑うような険しい目で葉子をにらむようになった。そして二人《ふたり》の間にはまた一つの溝《み....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て、降り積んだ雪が、日を受けた所は銀のように、雲の陰になった所は鉛のように、妙に険しい輪郭を描いている。 漁夫たちは口を食物で頬張らせながら、きのうの漁のあり....
海底都市」より 著者:海野十三
ゅうしん》とが、言語に絶する暴行を演ずるであろうことは明白だ。この際だ。どんなに険しい道であろうと、それが道であれば、僕は突き進まないでいられないのだ。 「はは....
地獄の使者」より 著者:海野十三
が、やっぱり問題にすべきでしょうか」 警部は弁明にどもりながら、ちらりと帆村へ険しい一瞥をなげつけた。 「そう。事件捜査に当る者は、一応現場附近に於けるあらゆ....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
なりむくむくと起き上って、仏の持っていた新聞をひったくった。 アンは、なぜか、険しい目をして、新聞の面を大急ぎで見ていたが、 「あら、これ、ずいぶん古い新聞な....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
だ。 それを傍から見下している機関大尉フランクの顔は、これはまた反対に、非常に険しい。彼の右手は、ピストルのサックを探っているではないか。 東洋人にはフラン....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、戦争|押始めろ。大砲でも放さんかい、陰気な芝居や、馬鹿、)と云うと、また急に、険しい、苦い、尖った顔をして、じろりと多一を睨みつけた。 (何しとる、うむ、)と....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
縁とでも申しましょうか、めいめいの踏むべき道筋は異います。私などは随分きびしい、険しい道を踏まねばならなかった一人で、苦労も一しお多かったかわりに、幾分か他の方....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
かされていました。 でいよいよ出かけました。 やがて二人は石ころや木株のある険しい坂道にかかりましたので、おかあさんは子どもを抱きましたが、なかなか重い事で....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
は、単にこの小娘の気まぐれだとしか考えられなかった。だから私は腹の底に依然として険しい感情を蓄えながら、あの霜焼けの手が硝子戸を擡げようとして悪戦苦闘する容子を....