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険悪
「険悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
険悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ならなかった。
四
お芳が泊りこむようになってから、一家の空気は目に見えて
険悪になるばかりだった。それはまず武夫が文太郎をいじめることから始まっていた。文....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
数を加え出した。と同時に騒《さわ》がしい叫び声も、いつか憎悪を孕《はら》んで居る
険悪な調子を帯び始めた。
「火つけを殺せ。」
「盗人《ぬすびと》を殺せ。」
「素....
「或る女」より 著者:有島武郎
のように叫ぶほかはなかった。
ひどい吹き降りの中に夜が来た。しかし葉子の容態は
険悪になって行くばかりだった。電灯が故障のために来《こ》ないので、室内には二本の....
「親子」より 著者:有島武郎
なかった。彼もできるだけ穏やかにその説明を手伝った。そうすると父の機嫌は見る見る
険悪になった。 「そんなことはお前に言われんでもわかっている。俺しの聞くのはそん....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
の人だかりだった。それはどうやら市政に興味を持つ市民の群らしかった。今日の市会の
険悪な雲行が露骨に反映しているかのようであった。 秘書課に名刺を出して、市長に....
「振動魔」より 著者:海野十三
物の種類によって、在宅中の顔触れも知れ、その上に履物の主の機嫌がよいか、それとも
険悪かぐらいの判断がつくのであった。その日の玄関には、一足の履物も並んで居なかっ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
○国人側も非常に怒り、復讐を誓って、唯今準備中であります。両国の外交問題は、俄然
険悪となりました。以上。 尚追加ニュースがある筈でございますから、この次は、ど....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
んだい」私は訊いた。 「解ってるでしょう――」そういうチェリーの顔には、何となく
険悪な気がみなぎっているのを発見した。 「あんた、早く返さないと悪いわよ」 彼....
「海底大陸」より 著者:海野十三
の船客と乗員の生命をうばった海底超人を見せろ」 群衆をつつむ空気は、すこしずつ
険悪化してきた。 クーパー事務長は、いままで船橋に立ち、クイーン・メリー号歓迎....
「海底都市」より 著者:海野十三
とにお気の毒さま、タングステン鋼《こう》あたまのトビ、トビタロ君」 両人の仲が
険悪になって来たので、僕は見るに見かねて座席を立つと両学生の間へ顔をつき出した。....
「火星探険」より 著者:海野十三
。デニー博士の一行は非常に不利な立場にある。 迫る火星人 事態はすこぶる
険悪だった。 頭のでっかい赤蟻が立ったような恰好の火星人の大群は、見事な隊伍を....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
音だ。どうしてこんな地下まで、紛れこんできたのかね」 議長さえ、まだそれほどの
険悪な事態の中にあるとは考えないで、爆裂音を身近くに聞いたことを興がっている。 ....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
空魔艦の最後 空魔艦の根拠地がいよいよ目の前に見えてきた。そのころ急に天候が
険悪になってきて、風がひゅうひゅうとふきだし、氷上につもっている粉雪を煙幕のよう....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
なやり方だ。そういう形式を採ってみようと、梅野十伍は考えた。 それでは国際関係
険悪の折柄、ひとつ国境に於ける紅白両国の人間の推理くらべを扱った探偵小説を書いて....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
を帯ぶ。同行とともにシャンパンを傾け、万歳を呼びて帰る。その絶壁を上下する石径の
険悪なること、台湾生蕃界の山路を想出するに足る。その岬頭の最高点は海抜一千十七尺....