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険相
「険相〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
険相の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
し唇が薄らいでくると、その毛虫のような逞《たくま》しい眉と俟《ま》って、たださえ
険相な顔が、よりいっそう物凄く見えるのだった。そのように、滝人には一つの狂的な憑....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いるものですか。あの室は、院長以外には絶対に開けられんのですよ」 杏丸医学士が
険相な声を出すと、鹿子はそれを強くいい返して、 「それでなければ、妹はじめ二人の....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
ているくせに何となく調子の荒いところが見える。娘も阿爺《おやじ》に対するときは、
険相《けんそう》な顔がいとど
険相になるように見える。どうしても普通の親子ではない....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
た。 その時、吉弥は僕のうしろに坐っているお君の鋭い目に出くわしたらしい。急に
険相な顔になって、「何だい、そのにらみざまは? 蛙じゃアあるめいし。手拭をここへ....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
体、二つのものは内政上における常時の論派なり。封建時代の当時にありて、国内諸方関
険相|隔ち、交通の便否もとより今日と日を同じくして語るべからず、したがって天下の....
「爛」より 著者:徳田秋声
て、莨を喫しながら、それを気にしていた。くやしまぎれに、小林に喰ってかかるお柳の
険相な顔や、長いあいだ住みなれた東京の家を離れて、兄と一緒に汽車に乗り込んで田舎....
「ねずみと猫」より 著者:寺田寅彦
毛は今でも時々隣の庇に姿を見せる事がある。美しい猫ではあるが気のせいかなんとなく
険相に見える。臆病なうちの三毛はのら猫を見ると大急ぎで家に駆け込んで来るが、たま....
「自画像」より 著者:寺田寅彦
からながめて見ると顔じゅう妙に引きつりゆがんで、始めに感じのよかった目も恐ろしく
険相な意地悪そうな光を放ってにらんでいるので、どうもそのままにしてあすまで置くの....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
幼稚な心は、はや幻と現実との差別を失ってしまったのである。 然し、お筆は日頃の
険相には似もせず、愛想よく二人を招じ入れたが、そうしてはじめ光子の童心を襲った悪....
「魔都」より 著者:久生十蘭
なべ》かなんかをひっかけて独り泡盛の盃を舐めている、四十五六の痩せた、見るからに
険相な人物はすでに各位辱知の酒月守である。
公園園丁長などは世を忍ぶ仮り姿で、....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
さい》があるのか?……無用、とだけではわからぬ」 藤波は蒼白《あおじろ》んだ、
険相《けんそう》な顔をゆっくりとあげると、 「それでは、たとえ、勝をとりましても....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
。 桜場清六のほうは、赭ら顔の大髻《おおたぶさ》。眼尻が吊しあがって、いかにも
険相な面構えなのに、黒木屋五造は、色白のおっとりとした丸顔で、田舎の大店の若旦那....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
っているほうがいい。 サト子が、ぼんやりした顔をしているので、曽根は、おいおい
険相な風情になって、 「ねえ、水上さん、だまっていないで、なんとかおっしゃってい....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
左だ。なんと円満な、そして温厚な二つの山の風影であろうか。厳冬が訪れても、かつて
険相に墮したことがない。 子持山と、小野子山の東西相|倚る樽の奥遠く、頭の白い....
「澪標」より 著者:外村繁
ャケツにズボン、板草履をはいている。三十くらいの女給が相手をしている。男はかなり
険相な容貌をしている。しかし存外静かに酒を飲んでいる。 「お客はんどこどすの」 ....