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「険阻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

険阻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
ではない。疲れて足を引摺《ひきず》り引摺り、だんだん山道に差し掛かる。道は少しも険阻ではないが、ただ連日の大雨《たいう》のため諸所《ところどころ》山崩れがあって....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
た。別将の欧陽※は各地を攻略して長楽に至り、ことごとく諸洞の敵をたいらげて、深く険阻の地に入り込んだ。 欧陽※の妻は白面細腰、世に優れたる美人であったので、部....
島原の乱」より 著者:菊池寛
んだ。 勝俊は馬上に叱咤して、 「鍋島勢を排して進め」と命じた。 城外の地勢険阻な処に来ると、馬を棄てて子の伊織十四歳になるのを伴って進んだ。激戦なので、掲....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
誘う。彼も飛騨行きのおくれるのを案じている矢先で、それが延びれば延びるほど、あの険阻で聞こえた山間の高山路が深い降雪のために埋められるのを恐れた。 独居のねぶり....
古事記物語」より 著者:鈴木三重吉
和へおひきかえしになる途中で、いろんな山の神や川の神や、穴戸の神と称えて、方々の険阻なところにたてこもっている悪神どもを、片はしからお従えになった後、出雲の国へ....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
はまだあまり出ていないと云ってもいい位いなのである。だがこの現状は、唯物論の道が険阻であることをこそ示せ、唯物論の思想としての資格を揺り動かすものではない。夫が....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ました。 いつもとは異なり、その日は修行場の裏山から、奥へ奥へ奥へとどこまでも険阻な山路を分け入りました。こちらの世界では、どんな山坂を登り降りしても格別疲労....
魔王物語」より 著者:田中貢太郎
卑怯だと云われるから、足探りに路を探って進んだ。 やがて大熊山の麓に辿り着いて険阻な石高路を登りはじめたが、其の困難は田畦の間の比ではなかった。しかし、何時何....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
地帯へ踏み込もうと土人軍どもを鞭韃した。しかしどのように鞭韃しても荊棘に蔽われた険阻の道をそう早く歩くことは出来なかった。 二十五 行く行く彼....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
美濃と木曾の間に新しく道をつくりました。それから十二年後にも美濃と信濃の境の道が険阻だからと之を廃して木曾路を新設しております。十二年前の木曾路が完成したのか、....
安死術」より 著者:小酒井不木
りました。 学校は私の家から五町ほど隔ったところにありますが、途中に十丈ほどの険阻な断崖がありますから、入学して一ヶ月ほどは女中のお清に送り迎えさせましたが、....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
兀たる大懸崖。城の入口には鉄の桟橋がかかって、一夫関を守れば万夫を越えがたき要害険阻の古城である。森林と千丈の断崖と矢の如き渓流とに抱かれた深秘の古城を仰ぎ見て....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
と、冗談を云いながら兄は去った。 巡査は彼の事件以来、日々通い馴れているので、険阻の山路も踏み迷わずに、森を過ぎ、岩を越えて、難なく虎ヶ窟の前に辿り着いた。足....
汽車の中のくまと鶏」より 著者:小川未明
りました。このくまにも、親や兄弟はあったのでありましょう。しかし、それらは、いま険阻な山奥に残っていて、捕らえられたくまのことを思い出しているかもしれませんが、....
針木峠の林道 」より 著者:木暮理太郎
、立山温泉に出て其処から登山したものである。そして一度此道を通過した者で、皆|其険阻なのに驚かない者はなかった。明治二十九年の七月下旬に自分が大胆にも唯一人此峠....