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険難
「険難〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
険難の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
には何物をも見ない。私は乗り越え乗り越え、自分の力に押され押されて未見の境界へと
険難を侵して進む。そして如何なる生命の威脅にもおびえまいとする。その時傷の痛みは....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
のであるから、起きて居る時には其必要も無いようであるけれども寝入て居る時には甚だ
険難である、思うに猫の尾や足を踏みて彼をして悲しき声を発せしめたことは何人も実験....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
った。「蔵人、お前先へ行け」 「何故だ?」と蔵人は訊き返した。 「並んで歩いては
険難だ。なんでもよい、先に立て」 で、蔵人は先に立った。 「よいか、蔵人、云っ....
「爛」より 著者:徳田秋声
分の部屋へ入って行くお今の後姿を見送りながら、呟いた。 「あんな娘を傍におくと、
険難だよ。」 「ううん、まさか。」 「初めて見た時から見ると、まるで変ったよ。―....
「人間レコード」より 著者:夢野久作
が、日本人と違って外国人は買収が利くんだから、つまるところ、密書を持たせるよりも
険難な事になるんだ。ことに露西亜なんかは世界中が敵で、秘密外交の必要な度合が一番....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
七兵衛が思わず立ち上る。
犬が一声高く吠える。
だが、その吠える声になんらの
険難《けんのん》はありませんでした。それは自他の警戒のために吠ゆるのではなく、む....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
れが海驢というものであり、全然害をしないものであることを知った。 しかし、磯が
険難で寄波が高く荒立っている上に、この動物の恰好を見ては、私がその上陸所が厭にな....
「耳無芳一の話」より 著者:小泉八雲
の身の上を大変心配していたのだ。目が見えないのに、一人で、あんなに遅く出かけては
険難だ。何故、私共にことわらずに行ったのだ。そうすれば下男に供をさしたものに、そ....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
て仕えていた。その騎士は原則として、魑魅魍魎盗賊毒蛇、これらのものの横行する道路
険難の諸国へ出て行き、良民のために粉骨砕身、その害物を除かねばならぬ。多くの悪魔....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
寄りでも――」
義観は、じっと月丸を眺めていたが
「利発な方じゃが、瞳中少し、
険難だの」
「剣難」
「剣ではない、陰険の険」
「はっ」
「ま、気をつけるがよい....
「取舵」より 著者:泉鏡花
始末だ。無途方も極れりというべしじゃないか。これで波の上を漕ぐ気だ。皆呆れたね。
険難千方な話さ。けれども潟の事だから川よりは平穏だから、万一の事もあるまい、と好....
「ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
人をつれて本国を発し、罪を謝すべくイタリヤに向かって旅立った。途中にはアルプスの
険難がある。アルプスといえば先にはカルタゴの雄将ハンニバルが大兵を率いて越え、後....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
床屋にも何にも、下町じゃ何てますか、山手じゃ、皆が火の玉の愛吉ッていいましてね、
険難な野郎でさ。」 「三|厘でもありさえすりゃ、中汲だろうが、焼酎だろうが、徳利....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
けずともこの天変を知らず顔では済まぬ汝が出ても来ぬとはあんまりな大勇、汝のお蔭で
険難な使いをいいつかり、忌々しいこの瘤を見てくれ、笠は吹き攫われるずぶ濡れにはな....
「法然行伝」より 著者:中里介山
都北嶺の衆徒の中から念仏を阻止妨害しようとの運動が起って来た。最初からその雲行が
険難であったが、終《つい》に元久元年の冬、山門大講堂の庭に三塔会合して専修念仏を....