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陽射し
「陽射し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陽射しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
て、大井川の堤に出た。見晴らす広漠とした河原に石と砂との無限の展望。初夏の明るい
陽射しも消し尽せぬ人間の憂愁の数々に思われる。堤が一髪を横たえたように見える。こ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
、クレップの襯衣なぞ買ってくれる家もない。
余丁《よちょう》町の方へ出て、暑い
陽射しのなかに、ぶらぶら歩く。亀が這っているような自分の影が何ともおかしい。三宅....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ら頑丈な四肢を投げ出して、半ば口を開けている無心な寝顔に、七刻《ななつ》さがりの
陽射しがカッと躍っている。
大賢大愚《たいけんたいぐ》、まことに小児《ちびこ》....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
★ 私はそのころ太陽というものに生命を感じていた。私はふりそそぐ
陽射しの中に無数の光りかがやく泡、エーテルの波を見ることができたものだ。私は青空....
「肝臓先生」より 著者:坂口安吾
だき、孤島にひとり配所の月を眺めてくらす肝臓医者たるもの、閉ざされた冬の心に春の
陽射しの訪れをうけた思いが致します。診療に当り尿や便の検査同様、肝臓を診よとのお....
「紫大納言」より 著者:坂口安吾
でに白日の光のもとに、青々と真夏の姿を映していた。木のまを通してふりそそぐ小さな
陽射しが、地に伏した彼のからだにもこぼれていた。 大納言は再び喉を焼くような激....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
着けてくれ」「かしこまりましてございます」 それだけでまたも無言となった。夏の
陽射しが傾いて、物影が長く地にしいた。追分宿へはいった頃には、家々に燈火がともさ....
「環礁」より 著者:中島敦
《カヌー》は、今ちょうど外海から堡礁《リーフ》の裂目にさしかかったところだった。
陽射しの工合から見れば、時刻は午《ひる》を少し廻ったところであろう。 煙草を一....
「おせん」より 著者:邦枝完二
忘れられぬであろう。葉隠れにちょいと覗いた青蛙は、今にも落ちかかった三|角頭に、
陽射しを眩ゆく避けていた。 「駕籠屋さん」 ふと、おせんが声をかけた。 「へえ....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
めるものがあった。でワルトンは不審そうに黙ってアイリスと同じように、晩春の午後の
陽射しを受けて淋しく燻し銀色に輝く白樺の幹や、疎らな白樺の陰影に斜めに荒い縞目を....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
加減の長身を横向けにした。応接間は玄関|傍きの奥へ向って細長い室であった。肝腎の
陽射しを受ける南に本棚や壁があって、僅かに奥の方に小窓が在るので其処から入って来....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
のくらいだった。誰一人訪れるものもない家、ひっそりと静まりかえって、晩秋の淋しい
陽射しに、庭前の雑草の花のみがいたずらに咲きほこっている草葺家の中に、彼女はひと....
「中支遊記」より 著者:上村松園
どの堂がある。田圃には翼を悠々とうって丹頂の鶴が舞っている。澄み透るような静かな
陽射し、このさまをみては武陵桃源という文字もありそうなことだと思うし、白髪の仙人....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
文久|辛《かのと》の酉《とり》年は八月の朔日《ついたち》、焼きつくような九つ半の
陽射しに日本橋もこの界隈はさながら禁裡のように静かだった。白っぽい街路《みち》の....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
がちな心の空であるにしても、どこかに陽が射しているのであります。曇り空でも洩れる
陽射しが、温かくて明るさを運んでくれるのであります。 ひょっとして、霹靂一声、....